総務・管理部門、システム部門の方針&目標設定: 目標制度をうまく運用する方法

総務・経理・管理・システム部門

管理部門の業務は多岐に渡りますが、 まずは営業部門や製造部門といった直接部門が事業を遂行するに当たり、 必要な経営資源を調達するということを考えます。 つまり、ヒト・モノ・カネを用意するわけです。 これに加えて管理部門の業務として情報とリスクを考えることもあります。

  • ヒト ・・・ 直接部門の計画から採用計画を策定
  • モノ ・・・ 直接部門が計画を担当
  • カネ ・・・ 直接部門の計画から資金調達計画を策定
  • 情報 ・・・ 直接部門の計画からシステム導入計画を策定
    但し、専門分野なので情報部門から提案することも重要
  • リスク ・・・ 経営者との相談

【ヒトとモノ】
(採用計画・育成計画・設備計画)

ヒトに関する計画は、直接部門の計画から採用・教育計画を策定します。 その際にはある程度の熟練者を採用するのか、 若年者を採用し教育するのかでは計画に大きな違いが生じます。 計画を作ってみて、既存の予算を大きく超過するようであれば、 そのコストを支払っても採用・教育を行いたいのか、直接部門と調整を行います。

モノは、設備、機械、在庫などを表わします。 主に直接部門が調達計画を立てる会社が多いようです。 管理部門はその実施を支援します。

【カネ】
(資金計画)

カネは文字通りお金のこと、企業経営においては資金繰りを表わします。 一般的には売上が増えていくとそれに伴って運転資金も増加していきます。 運転資金は、必要現預金+売掛金+在庫ー買掛金として計算されます。

[図: 必要運転資金の計算]

直接部門の計画を元に運転資金を計算します。

  • 予測売掛金額 = 計画売上高 × 前期売上債権回転期間
  • 予測在庫金額 = 計画売上高 × 前期在庫回転期間
  • 予測買掛金額 = 計画原価 × 前期買入債務回転期間
    ※ 回転期間を日数で計算している場合には 365で割る、 月数で計算している場合には 12で割る
  • 必要現預金 ≒ 月商
    ※ 必要現預金として月商は最低の額で、 月商分程度あると資金繰りがかなり楽になる。
  • 必要運転資金 ≒ 必要現預金+予測売掛金額+予測在庫金額ー予測買掛金額

ここでいう「必要現預金」は実際に必要な預金残高というよりも、 月内の資金繰りを執り行う上での安全マージンのことです。 必要現預金を月商とすると凡そ1ヶ月分の支払いは収入がなくてもできる計算になります。 勿論、収入の山が月の前半にあり、支出の山が月末にある会社では 資金繰りの関係から必要現預金は少なくて済みます。

ここでは売掛金、在庫、買掛金で計算しましたが、 これ以外にも営業用の資産、負債がある場合には、 それも計画の内容を見ながら資金予測に加える必要があります。 金額が大きな科目を一つ一つ精査していくと良いでしょう。 例えば、社員の給与を未払費用に計上している場合には、 社員数が増えれば未払費用もそれに伴って増える計算になります。或いは、小売業では敷金、改装費等の出店費用を考える場合もあります。そうすると流動資産に留まらず、固定資産も考える必要が出てくるでしょう。

計画達成に必要な資金額が分かったところで、資金調達の検討をします。 勿論、毎年のCF(キャッシュフロー)の中から資金を捻出できれば良いのですが、 それでも足りない場合は様々な資金調達方法を検討します。 資金調達の方法は、増資、役員借入金(経営者がお金を入れる)、 社債、金融機関からの融資などがあります。

資金調達は兎に角早めに動くことがコツの一つです。事業拡大の中でお金が足りなそうだから融資をお願いするというのと、事業をやっている中でお金が足りなくなったから融資をお願いするということでは金融機関の印象は大きく異なります。

【情報】
(システム計画)

情報システムについては、直接部門に専門家が少ないこともあり、 専門人員がいる場合にはそこから積極的に直接部門に情報提供していきます。 該当する専門人員が情報提供のやり方を良く知らないような場合、 上司が積極的にリードしてあげる必要があるでしょう。

情報については、大きく分けて3つの区分を考えます。

種類 対象/ユーザ 見直しの要点
顧客コミュニケーション系 顧客・潜在顧客 収益性 オンラインショップ
相談窓口システム
LINE@
業務系 直接部門 情報の入手容易性
業務の効率化
規模透過性
販売管理システム
営業支援システム
基幹系 全社 規模透過性 ERP

[表: システムの種類と見直しの要点]

システムの種類はユーザ毎に大きく3つに分けられます。

顧客コミュニケーション系/販売系システム

まず、顧客や社外の人が使う顧客コミュニケーション系があります。 最もよく導入されているものはオンラインショップです。 他にも相談窓口システムや会社によってはLINE@等で 顧客に対する働き掛けをしている場合もあるでしょう。 基本的な会社のWebサイトもこれに含まれます。 この種類のシステムは基本的に顧客に対する働きかけを強化し、 売上を上げるためのシステムですので、 どれだけ売上に結びついているかが評価点となります。 最新のシステムと収益に対する効果を直接部門に積極的に伝えていくと良いでしょう。

業務系システム

2つめは直接部門で活用されている業務系システムです。 例えば、販売管理システムや営業支援システムがこれに当たります。 これらのシステムは、1.管理職が適時適当な情報を入手する為、 2.業務を効率化する為、3.規模が大きくなっても手間が増えないようにする目的で 導入されています。 従って、直接部門の計画を実現する上で、1.直接部門の管理職が適時適当な情報を入手出来ているか、 2.業務効率化の余地がないか、3.人員や売上が増えてきても業務が回るかという視点で システム導入を提案します。

基幹系

最後の基幹システムは全社の業務をまとめたもので、 多くの場合、業務システムの機能を含んでいます。 計画の結果として全社で大規模なシステム導入が必要な場合に検討します。

【リスク】

リスクに関しては発生していない費用であり、 それにどれだけ費用を掛けるかは、最終的には経営者の価値観になります。 世の中には生命保険に加入している人もいますし、加入していない人もいます。 これは発生していない事柄にどれだけお金を掛けるかは、 最終的には個人の価値観に依存するということを示しています。

企業を経営する上では様々なリスクがありますが、 直接部門で取り扱うべきリスクと、管理部門で取り扱うリスクがあります。 直接部門で取り扱うリスクには、 例えば市場(顧客と競合)のリスク、政治・社会リスクなどがあります。 これらのリスクに直接部門が気付いていないようであれば、 直接部門に知らせます。

一方、一般的に管理部門で扱うリスクもあります。 内容を下記に列挙しました。

  • ・ 天災/人災
    • – 火災、地震、洪水
  • ・ 法的リスク
    • – 税法、労働基準法
    • – ハラスメント関連
    • – その他事業関連の法令
    • – 独占禁止法、知的財産権
  • ・ 製造物責任リスク
    • – 製品瑕疵、リコール
  • ・ 財務リスク
    • – 貸倒れ、売掛回収不能
    • – 為替、有価証券等、価額変動
    • – 金融機関の貸し渋り、貸しはがし
  • ・ 人的リスク
    • – 内部不正
    • – 突然の離職
  • ・ システムリスク
    • – 不正侵入
    • – 悪意のあるソフトウェアによる業務停止

リスクを考える際には、まずリスクを発見し特定するところから始めます。 続いて、発生確率と想定損害額の検討を行います。 対策はこれに基づいて行います。

[図: リスク管理の手順]

従ってリスクの特定ができていないのであれば、 これを行動目標の一つにした方が良いでしょう。 また、リスクが特定されているのであれば、 次は発生確率と想定損害額を計算していくことが目標になります。


管理職のための目標制度【単年度計画・行動計画】の手引き
  • 目標制度の手引き 目次

    その他、目標制度がうまく行かない理由に心当たりがあれば、下記のリンクからお読みください。

  • 製造部の方針&目標設定: 目標制度をうまく運用する方法

    製造部門では製造コストを徹底的に見直してトータルコスト競争力の強化を行います。 但し、品質を落としての原価削減は粗利率低下に繋がる為、 避けた方が良いと考えられます。

    因みに売上は製造部門の仕事ではなく、営業部、販売部の仕事と考えられます。従って、営業部・販売部の目標や計画を良く確認した上で、上振れした場合、下振れした場合も考えながら、うまく原価・その他変動費・固定費をコントロールすることが必要となります。一般的には変動費を増やし、固定費を減らす戦略をとる企業が多いようです。但し、変動費を増やすというと、パート・アルバイトなどの時間給社員の活用、外注先の活用ということになり、改善のための人員が不足してしまうこともあります。バランスをとったかじ取りが必要となります。

    ここでは製造部門の利益が 売上ー営業経費ー変動費ー固定費で計算されると考えてみます。 ここでいう変動費は売上に連動して発生する費用、 例えば原材料や外注加工費、運送費などが含まれます。 一方、固定費は減価償却費や正社員の人件費、家賃など、 既に支出が決まっている費用を言います。

    [図: 製造業の目標設定]

    製造部門は、設備投資が必要な業種であり、 人件費、減価償却費などの固定費負担が生じます。 固定費は既に支出が決定している費用ですので、 粗利(売上ー営業経費ー変動費)で固定費を賄えないと赤字となります。 従って営業部門と緊密に連絡を取りながら、 設備稼働率の維持に取り組む必要があります。 受注生産に比べて、見込み生産はより高い精度の重要予測を行うことで、 設備稼働率を改善する余地が大きいと考えられます。

    製品に季節変動が大きい場合には、 複製品の組み合わせによって稼働率の平準化を図ることが目標になります。

    設備と正社員が空いている状態では、 多少でも粗利があれば受注し、固定費を賄う必要があります。 一方、設備と正社員が空いていない状態、即ち稼働率が100%であれば、 後は粗利率の低い仕事を断り、粗利率の高い仕事を受けることで、 利益が改善します。 特に受注生産を行っている企業では、 特定顧客の特定の仕事を安く請け負ってしまっている場合が多く、 これを改善することが目標となる事例もあります。

    単に粗利率の低い仕事を断り、粗利率の高い仕事を受けるだけでは、 目標数値に到達しない場合もあります。 その場合、抜本的に粗利率を改善する為には、 新技術や独自技術、或いは新製品、独自製品などの開発を行っていく必要があります。 新製品、新技術開発は製造部門に限った話ではありませんが、 製造部門から提起しても良い話題だと思います。

    変動費は各科目毎に考えていきます。 原材料費、外注加工費、変動人件費(パート・アルバイト)、その他変動費の それぞれで削減の余地がないか検討します。 人件費については労働生産性の向上が重要となります。 つまり、人件費の単価は下げずに、手間を減らすことが重要です。 現場での作業改善、工場レイアウトの改善、手待ち時間の撲滅、 工程バランスの改善(ボトルネックの解消)等と、 低付加価値作業のパート化の促進などにより、 労働生産性の向上に努めます。


    総務・管理部門、システム部門の方針&目標設定


  • 目標制度の手引き 目次

    その他、目標制度がうまく行かない理由に心当たりがあれば、下記のリンクからお読みください。

  • 営業部の方針と目標設定: 目標制度をうまく運用する方法

    B2B営業部門

    営業やマーケティングは会社の数ほどあると言われるほど、種類が多いといいます。 そうは言っても、営業であれば、営業担当者の何かの働きが 成約、注文に繋がっている筈です。 ここでは代表的なB2B(法人向け)営業を例に、 営業担当者の働きと売上の相関関係について考えます。 他の種類の営業も考え方は同じですので、適宜読み替えて下さい。

    下記の図は、セミナーからメールでの案内、訪問で受注を行っている活動の例です。

    [図: 営業活動の定式化]

    このように定式化してみると、この営業活動においては、 潜在顧客数×セミナーへの参加率×メールへの返信率×営業訪問成約率で成約数が決まり、 これに客単価=商品単価×商品点数を掛けると売上が計算できることになります。 セミナーへの参加率、メールへの返信率、営業訪問の成約率を向上させること、 商品単価と商品点数を増加させることが売上増加につながることが分かります。 売上を構成する各要素に対し、どんな行動が数値の改善に影響するか、 一つ一つ検討していきます。 この考え方では特定の施策が売上にどう反映するのかが 簡単に計算できることが要点です。

    小売業などでは、商圏世帯数×チラシ配布率×商品単価×買上げ点数で 考えることもありますので、似ている点もあるのではないでしょうか。

    改善の為には見える状態にすることが近道です。部下も過程と結果が見える状態から初めて自分で考え始めます。そこで、売上の裏付けとなる行動と成約率が、1.見える状態になっているか、2.見ているか、3.対策をとっているかという順番で考えます。今、マネージャである貴方からは売上につながる行動と確率のデータが見えているでしょうか? またそれを普段からみていますか。対策は取られているでしょうか? 部下の立場からはどうでしょうか?

    データが明確になった後には、大きく分けて、確率を上げる方向性と行動量を増やす方向性を考えることができます。

    確率(成約率)を上げるということでは、営業企画(イベント・セミナーなど)、営業要資料の整備、営業用スクリプト等顧客接点の改善、営業担当者の能力開発などを検討します。ここでの最大のポイントは上流のプロセスの改善ほど効果が高いということです。先程の例でいえば、セミナー参加率を上げることが売り上げ増加に最も効果があることになります。逆に顧客接点の改善は、個々の営業担当者の能力に依存するところが大きいので、教育するにしても時間が掛かります。

    行動量を増加させるためには、まず現状の業務を見直し、営業に不必要な業務から解放することが一番の近道です。不必要な業務の廃止、移転は、自分が楽したいと思われやすいため、部下から提案することが難しいものです。上司から積極的に社内に働きかけ、改革を実施することで、活動量が上がると同時に部下からの人気も高まります。省力化に成功した分は売上や粗利が増加するよう、部下に確約してもらいましょう。一般的に営業部員の省力化は売上にそのまま跳ね返るため、効果が大きくなります。

    他には採用を行って人数を増やすことも考えられます。

    営業活動には様々種類がありますが、どんな行動が売上・販売につながるのかという視点は同じです。下記に参考となりそうな記事を掲載しました。

    【姉妹サイト】成果が出る営業プロセスのフロー・マネジメント方法

    【姉妹サイト】売上を増やす確実な方法: 売上方程式


    製造部の方針&目標設定
  • 目標制度の手引き 目次

    その他、目標制度がうまく行かない理由に心当たりがあれば、下記のリンクからお読みください。

  • 管理職のための目標制度【部署方針・部署目標設定】の手引き: 目標制度をうまく運用する方法

    全社的な目標から社員個人への目標へ落とし込んでいく一般的な方法は以下の通りです。

    1. 経営理念の確立

      会社のコンセプトを言語化し、複数の人で共有できるようにします。 何のために働くのかという組織目的が明確になっていることが 複数の人が集まって仕事をするためには重要です。

    2. 経営目標・経営Visionの設定

      5年後、10年後という期間を設定し、 会社をどういう状態に持って行きたいかという目標を設定します。 経営目標は、売上高もありますし、業界No.1のようなものもあります。 社員の給与増額を前提とする場合には生産性に関する指標が入ることもあります。 一つではなく、複数の数値を掲げる場合が多いようです。

    3. 戦略策定

      社会動向や業界動向、競合の動き、顧客のニーズ等の現状分析を行い、 SWOT分析、3Cなど、各種のフレームワークを活用し、戦略を策定します。 戦略というと難しく聞こえますが、 ここで重要なのは、顧客と競合を勘案した方向性を打ち出すことです。 経営目標を達成する為には、この2つの要素が最重要だからです。

    4. 重点施策立案

      全社的な経営目標と戦略が決まってきたところで、 いよいよ部署毎の目標を設定します。

    5. 単年度計画・行動計画の策定

      5年後の目標達成の必要事項が見えてきたら、今年何をすべきかということを優先順位を考えながら検討します。最終的にはいつ、誰が、何をという要素を詰めていきます。

    [図: 経営理念・全社目標から個人目標への流れ]

    この中で1~3は全社レベル、3~4は部のレベル、4~5は課のレベルで 取り組む企業が多いようです。 そこで本稿の「管理職の為の」という主旨を鑑みて4と5を重点的に説明します。

    1 財務的な目標値の設定 全社目標を元に自部署での目標を設定
    2 財務的な目標値を達成する為の行動の洗い出し 財務的な目標値を達成する為に何が必要かを洗い出す。
    ここではできるかできないかということは検討しない。
    3 上記の行動を実行する為のヒトとモノの検討 目標を達成する為に現状の人員と設備で可能かどうかを検討。
    現状では目標達成が困難な場合、必要なことを洗い出す。
    4 上司、他部署との調整 ここまでの内容で、難しい点を上長と相談。それでも難しい場合、計画の見直しが必要ということ。
    自部署でやりきれないこと、他部署の管轄事項については該当部署と相談
    5 優先順位付けと単年度の財務目標、行動目標 必要事項の中から計画初年度にやるべきことの抽出。
    6 課員への割り振り 行動計画の中の「誰が、いつまでに」という担当者と期限という要素を明確にする
    面談を通じて担当者へ割り振りへの理解を促す。

    [図: 重点施策立案の手順]

    まず、全社の財務目標を元に自部署の財務目標を計算します。 部門別採算制や自社で使っている管理帳票上の実績数値を元に、 自部署の役割を考慮して目標を決定します。

    【行動と数値の対応で考える】

    ここまでの段階で、部署毎の方向性と数値目標が決まっているかと思います。 ここから何をすれば目標が達成できるのかという、 目標達成の諸条件を考えていきます。 最も重要な点は行動がどの財務結果に結びつくのかを明確に意識することです。

    皆さんの会社にも、部署毎の損益計算書、貸借対照表や、 営業管理表等の会社の現在の業績を示す資料があると思います。 過去の実績はそこに記載があると思いますが、 どんな行動がその数値を変えていくのかを施策として立案します。

    例えば、売上を伸ばすのであれば、数量を増やすのか、高額商品を売るのか、 売上を伸ばすために数量を増やすのであれば、 何をすれば数量が増えるのかを考えます。 即ち、行動が結果として財務数値をどれだけ変えられるのかを明確にします。 例えば、

    • 人員1名増 → 売上 ??百万円増加
    • 仕入先開拓 → 粗利率 ??%低下

    というように行動の結果を財務諸表や管理帳票上の数値で考えます。

    【細分化して考える】

    もう少し細かく見てみます。 そもそも、利益という概念は、売上高から原価を引くと粗利が計算され、 粗利から固定費を引き、その他の損益を増減することで計算されます。 そうであるなら、結局は 1.売上高を上げる、2.粗利率を上げる(原価低減)、 3.固定費を減らす、4.その他損益を増やす内のいずれかしかないことになります。

    [図: 利益とその変動要因]

    売上は、単価×数量で表わされますので、 単価を上げるには? 数量を上げるには? という視点で考えます。 また売上は、顧客Aへの売上+顧客Bへの売上+・・という 顧客毎の売上の総和でも表わされます。 個々の顧客への売上を伸ばす方法を大口顧客から考えていきます。 或いは、商品Aの売上、商品B・・・という総和の売上という考え方もできます。 そう考えると、個々の商品の売上を伸ばす方法を重点商品から考えていきます。

    粗利率は (売上ー原価ーその他変動費)÷売上で計算されますので、 原価を下げるには? その他変動費を下げるには? という視点で考えます。 「その他変動費」は耳慣れない言葉かもしれません。 売上に連動して発生する費用、 例えば物流費や支払い手数料、販売手数料などを意味します。 また、売上の箇所で述べた通り、商品毎に粗利率を計算し、 粗利率の低い商品を廃止したり、改善したりする方法で粗利率を改善する場合もあります。 製造部門では、ロスが粗利率に大きく影響しており、 これをどう減らしていくかを検討します。

    固定費や営業外損益に関しては、額の大きい科目から、 削減の余地はないかを検討します。

    この時点では、これはできないだろうとか、 これは他部署の話だからということを考えずに、 自由な発想で目標を実現する方法を考えます。

    【行動を実施する組織、設備はあるか】

    目標を達成する方法が出揃ったところで、 現状の組織、部署のメンバー、設備・システムで実現可能なのかということを検討します。 よく、ヒト、モノ、カネという3つの要素を考えるように言われます。 モノは製造部門などの機械設備がこれに当たるでしょう。 カネの面は資金調達や資金繰りの分野に当たり、 通常の会社では経理の仕事であることが多いようです。

    ヒトと言えば、人事のことです。 人事のプロセスは、採用、任用、教育、評価、登用、昇給を考えます。 例えば人を増やすのでしたら、採用や教育を考える必要があります。 この時点で課員一人一人の顔を思い浮かべながら、 誰に何を任せるか考えてみると、できるできないの具体的なイメージが湧いてきます。

    現状の設備、システムで目標達成が困難な場合は、 設備導入やシステム導入を考える必要があります。 目標設定の段階で導入する設備やシステムの細かい仕様は不要ですが、 大まかな要件と金額は考えておく必要があるでしょう。 ここが計画と目標設定に大きく影響してくるからです。

    【上長と相談する、部署を跨いで調整を行う】

    例えば増員など経営資源の割り当てに関しては、 上長と相談する必要があるでしょう。

    重点施策をまとめてみると、 自部署内では中々やりきれないことも出てきたのではないでしょうか。 この段階で一度、他部署との調整を行います。

    上長との相談、他部署との調整の結果として、 計画実行が困難な場合、目標そのものに無理があるということになります。 ここは真摯に自分の考えを上長に説明してください。

    管理職のための目標制度【単年度計画・行動計画】の手引き


    営業部の目標設定
  • 目標制度の手引き 目次

    その他、目標制度がうまく行かない理由に心当たりがあれば、下記のリンクからお読みください。

  • 目標制度をうまく運用する7つの要点

    ●目標達成を行う為の仕組み

    以下に目標設定が機能する為の条件を纏めました。

    1. 経営計画発表会を行うなど、全社目標を明確にする
    2. 若手社員に対して研修や上司との意思疎通などを通じて、個人の自己実現と会社における目標達成の関係を理解させる
    3. 管理職に、業務や経営会議等を通して、その意義を理解させる
    4. 必要に応じて評価制度を改善する
    5. 結果が直ぐに分かる仕組みを構築する



    管理職のための目標制度【部署方針・部署目標設定】の手引き
  • 目標制度の手引き 目次

    その他、目標制度がうまく行かない理由に心当たりがあれば、下記のリンクからお読みください。

  • 【課題】目標が達成できない: 目標制度をうまく運用する方法

    ●なぜ多くの「目標」はお題目に終わるのか

    もし、下記の例に思い当たることがあるなら、是非、次の文章を読んでみてください。

    ある調査によると、いわゆる目標管理制度の普及率は88.5%にのぼるそうです。本誌をお読みの皆さんの会社でも既に導入済みなのではないでしょうか。これだけの普及率ではありますが、組織目標を部署目標、個人目標に落としていくという概念はご存知でも、やってみるとうまくいかないという会社もあるようです。実際に目標達成がうまく機能しない事例をよく耳にします。まずはうまくいかない例を検討してみます。

    例6: 目標が達成できない

    あらゆる方策を尽くしても目標が達成できないことがあります。ここでは他の記事に書いていない論点を考えてみます。

    • 結果が直ぐに分からない
    • 社員が目標達成のために何をして良いか分からない。

    結果が直ぐに分からない

    ある会社では月次の結果が分かるのに 2週間もかかるそうです。前月の結果が半月後に分かって対策会議をしても、当月は残り半分しかありません。これでは、目標達成は難しいのではないでしょうか。

    計画、実行、結果確認、対策実施という流れのことをPDCA(Plan, Do, Check, Action)ということはご存知かと思います。一般的にPDCAのサイクルは、CheckとActionの速度によって決まります。例えば最近流行の痩身ジムについて考えてみます。減量計画を立て、メニューを実行する。ところが体重が減ったのが直ぐに分からないと中々目標は達成できません。体重の減り方が計画より少ないのであれば、メニューを強化する必要がありますし、逆に計画を超過しているのであれば、無理をしていないか検討する必要があります。結果を早く確認して、早く対策を打つことをしなければ、目標はなかなか達成できません。

    【姉妹サイト】業務活動と財務結果の関係を可視化する管理会計コンサルティング(KPI)

    社員が目標達成のために何をして良いか分からない。

    ある会社では営業人員に対し、一律5%の売上増を目標に設定しているようです。こんな無茶ぶりの会社は珍しいかもしれません。但し、管理職の皆さんは部下が何をすればその目標を達成できるのか理解しているかどうか確認する必要があります。

    一般的に未熟練者の場合にはどうしたら結果が出せるか分からないことがあります。上記の例でいえば、売上5%UPを達成する為に何をすれば良いかを本人が分かっていないと、行動が伴わず、目標は達成できないでしょう。未熟練者でなくても抽象度の高い目標設定を行うと、中堅社員でも迷うことが多いでしょう。例えば、社員満足度 10%改善等の目標であれば、どういった行動計画を立てるのか、中々難しいところだと思います。

    職位制度から見てみると、部署の結果目標に対して、何をすれば実現できるのか理解し、それを実効に移せば一人前と考えられます。一般の会社でいえば、主任や係長級ということになります。

    マネジメント理論の行動目標、行動計画、KPIという概念はご存知かと思います。要は結果を出すために何をすれば良いか、結果は管理できないが行動は管理できるという考え方です。勿論、簡単に何かをすれば結果が出るという業務は少ないものです。しかし、逆に考えるとこれが明らかになれば、売上が読めるようになり、事業として大きく成長する可能性があります。

    例えば、コンビニエンスストアは各社独自の集計で、商圏と地域性から開店の前に店舗の凡その売上が分かるそうです。売上が読めるからこそ、使ってよいお金も分かります。仕組み化することができ、事業は成長します。

    部署の目標が達成できない場合、各自がどのような行動が目標達成につながるかを理解していることを再度確認する必要があるでしょう。

    管理職のための単年度/行動計画のつくり方


    目標制度をうまく運用する7つの要点
  • 目標制度の手引き 目次

    その他、目標制度がうまく行かない理由に心当たりがあれば、下記のリンクからお読みください。

  • 【課題】低い目標に集中してしまう: 目標制度をうまく運用する方法

    ●なぜ多くの「目標」はお題目に終わるのか

    もし、下記の例に思い当たることがあるなら、是非、次の文章を読んでみてください。

    ある調査によると、いわゆる目標管理制度の普及率は88.5%にのぼるそうです。本誌をお読みの皆さんの会社でも既に導入済みなのではないでしょうか。これだけの普及率ではありますが、組織目標を部署目標、個人目標に落としていくという概念はご存知でも、やってみるとうまくいかないという会社もあるようです。実際に目標達成がうまく機能しない事例をよく耳にします。まずはうまくいかない例を検討してみます。

    例3: 低い目標に集中してしまう

    目標達成度ではなく貢献度を評価基準にする

    皆さんは会社で目標設定をやってみたが、部下が低い目標しか立てなかったという経験はないでしょうか。実際にこの例は頻繁に耳にします。

    簡単なことなのですが、給与は目標の達成度ではなく、組織・チームへの貢献度と職務の一般的給与で決まるものです。例えば、非常に大きな目標を立てて達成度が低い人であっても、組織への貢献が大きい人であれば、それに応じた待遇をするのが望ましいと考えられます。特に中小企業では決められた仕事をするというよりも、中心となる人物を核として助け合いながら成果を追求していく場面が多くあります。過去に立てた目標は必ずしも今、最優先でやるべきことではないかもしれません。

    制度設計する側はそうした意図はなくても、社員には目標達成度が待遇に反映する誤解を招きやすいものです。こうした誤解を防ぐためにも、一旦個人目標は棚上げし、部署目標(=管理職の目標)までをしっかり設定する会社もあります。管理職は一般社員よりは人数が少ないですので、その分、理解を深める研修などが行いやすくなります。

    目標設定は人事考課の道具ではなく、 社員の意欲・モチベーションを改善する為のツール

    目標を給与と切り離すと、目標は管理職の部下に対する期待値であり、部下としては自分の実力に対する自信を示すことになります。目標の総計は大幅に上昇するかもしれません。目標が低いということは、管理職が部下に期待していないということですし。部下は自分の実力に自信がないということになります。逆に目標が大きすぎれば、実現可能性を検討しているのかという疑問が湧きます。

    勿論、目標設定への積極性が人事考課の一部として考えられることはあります。目標設定が低い原因は、本人の自信のなさや、性格、業務に対する消極性であるかもしれません。ここが本人の能力発揮の障害になっているのであれば、支援することにより大きく成長するかもしれません。ただ、目標達成度が人事評価に直結するというのは、趣旨が大きく異なってしまっています。

    こうすると目標設定の持つ意味が明確になります。つまりやらされ仕事から脱却し、自分で考え、自律的に行動する社員を育てることになります。P.ドラッカーが MBO(Management by Objectives, 目標による管理)を提唱したのには、こうした背景があったのかもしれません。

    【姉妹サイト】人事制度-給与制度の考え方マトメ


    例4: 社員のモチベーションが低い、管理職の部下に対する動機づけが弱い
  • 目標制度の手引き 目次

    その他、目標制度がうまく行かない理由に心当たりがあれば、下記のリンクからお読みください。

  • 管理職のための目標制度【単年度計画・行動計画】の手引き: 目標制度をうまく運用する方法

    【優先順位付けと単年度の財務目標、行動目標】

    中期経営計画は、大まかに5年後を見据えたやることの洗い出しでした。 ここからは今年、何をやるのかという単年度の計画を詰めていきます。 単年度の計画は「誰が」、「いつまでに」、「何を」するかという 担当者、期限、行動の3要素を詰めていきます。

    ・ 単年度の財務目標は現状の人員・設備で考える

    財務目標は5年後を見据えた上で、今年度達成可能な目標を設定します。 行動目標の方は優先順位を決めて、今年度に実行する内容を決定します。 中期目標の方では、人材採用等、新たな経営資源の獲得も含めて検討しましたが、 ここでは既存の経営資源で出来ることを検討します。 何故なら、経営資源の獲得は通常、不確実な点が多く、 計画に盛り込むと目標が達成できない可能性が高まるからです。 新たな経営資源は、若干でもプラスになればいいと考えます。 今年度、獲得した経営資源は来年度の単年度計画を立てる際には、 計画に盛り込むことができるようになっているでしょう。

    【課員への割り振り、面談】

    一度、実現可能性を検討した際に、 大まかな経験・能力と人数を考えている筈ですので、 ここでは課員一人一人への割り振りを考えていきます。 勿論、課員全員の計画を合わせたものが部署の計画になります。

    上手くいかない事例を思い出していただくと、 目標設定が部署内でうまく行くためには 下記の条件があることが分かります。

    • a. 課員個人の頑張りと将来のイメージを持たせる

    • b. どんな条件であれば目標が達成できるのか聞いてみる

    • c. 課員が目標達成のために何をすべきか理解している

    課員との面談では、上記の点を意識すると良いでしょう。

    a. 課員個人の頑張りと将来のイメージを持たせる

    まず、課員個人の会社での頑張りと将来のイメージを持たせるように話します。 具体的には課員のプライベートの話から入り、 今後の方向性や数年後、数十年後にどんな状態にあれば良いか、 聞いてみましょう。 勿論、ハッキリ答えられない部下の方が多いかもしれません。 その場合は時々はこういった話題を考えてみるように促します。

    自然に給料が上がっていくのはどの業界でも30代中盤が限界でしょう。 20代であれば生活費にそれほどお金が掛かるという実感がないでしょう。 それ以降、例えば子供が大学に入る頃には大きな資金が必要です。 それに備える為にはより価値の高い(顧客に評価される)仕事をすることが求められます。 会社も頑張るが社員も頑張らなければならなりません。 ベテランのビジネスマンには当然のことではありますが、 若年者にこういった会社の仕組みを理解してもらうことは効果が高いと考えられます。

    b.どんな条件であれば目標が達成できるのか聞いてみる

    まず、管理職である自分が、相手方の部下に対して、 出来ると思って目標を設定したことを話します。 上司である自分が設定した目標を伝えた上で、 どんな条件が整えば出来るのか、部下に問いかけてみてください。

    ・ 部下の視線をできない理由からできる条件に移させる

    出来ない理由をいくつ積み重ねても、できる条件にはなりません。 部下ができない理由を挙げてきた場合には、 どうすればできるのか提案してほしい、○○さんなら提案できるはずだという 目標制度の主旨を強調しましょう。 部下の目線を現状から目標達成に移させます。

    ・ 部下の提案に対しては考え方を説明する

    部下が上げてきた話は、経験や知識の差から、時には個別最適になってしまっていたり、 実現可能性の低い施策であったりするでしょう。 最初は見当外れの内容が多く、ものの見方や考え方を理解させるのに 時間が掛かるでしょう。 しかし、何故ダメなのかという理由を明確にすることから 管理職と部下の対話が始まります。

    全社の目標を念頭に、その為に何ができるか、何が必要か、 職位に応じて考えてもらうというのが、目標設定の要点です。 管理職であれば、自分の目標は担当部署の目標になりますし、 一般社員であれば業務をこなすこと、能力開発を行うことが目標になるでしょう。 まずは目標を達成する為に何が必要だと思うか、 管理職が部下に聞いてみることが大事です。

    c. 課員が目標達成のために何をすべきか理解している

    最後に課員が目標達成のために何をすべきか理解していることを確認します。

    未熟練者でなくても抽象度の高い目標設定を行うと、 中堅社員でも迷うことが多いでしょう。 例えば、社員満足度 10%改善等の目標であれば、 どういった行動計画を立てるのか、中々難しいところだと思います。

    職位制度から見てみると、部署の結果目標に対して、 何をすれば実現できるのか理解し、それを実効に移せば一人前と考えられます。 一般の会社でいえば、主任や係長級ということになります。

    マネジメント理論の行動目標、行動計画、KPIという概念はご存知かと思います。 要は結果を出すために何をすれば良いか、 結果は管理できないが行動は管理できるという考え方です。 勿論、簡単に何かをすれば結果が出るという業務は少ないものです。 しかし、逆に考えるとこれが明らかになれば、売上が読めるようになり、 事業として大きく成長する可能性があります。 例えば、コンビニエンスストアは各社独自の集計で、 商圏と地域性から開店の前に店舗の凡その売上が分かるそうです。 売上が読めるからこそ、使ってよいお金も分かります。 仕組み化することができ、事業は成長します。

    ●事例

    鈴木課長は35歳で食品製造業の会社で営業課長を担当しています。 管理職でなかった時は積極的な営業で実績を上げてきましたが、 管理職になってからは自分の営業スタイルが 今の部下に合わないかもという不安を感じています。

    丁度その頃、情報通信網を介した直接販売が業界内で大きな話題になっており、 鈴木課長の部署で担当することになりました。 鈴木課長は自社の業界内での地位を勘案し、 5年で既存の売上の10倍を目指すことにしました。

    鈴木課長の部署には、若手で情報技術に詳しいと評判の佐藤君がいます。 直近の人事評価でも5段階中、上から2番目の評価を取っています。 鈴木課長は目標設定の為の個人面談の席で、 佐藤君にどうしたら5年で売上10倍にできるかを聞いてみました。 自分の専門外のことだったので、素直に聞いてみることにしたのです。 佐藤君の出してきた条件は、

    ・ 自分の売上目標は前期並み ・ 販売管理システムの管理者権限 ・ 毎月10万円の広告予算

    の3つでした。これ以外にもたくさんありましたが、 無理なものは無理ということを鈴木課長は懇切丁寧に説明し、 佐藤君がアイディアを固めていくのを手伝うような立場を心掛けました。

    上記の3つ、個人の売上目標は自分の裁量で何とかなる範囲でしたが、 残りの二つは上長や他部署との調整が必要でした。 まず販売管理システムの管理者権限はシステム課との調整を行い、 佐藤君が臨席する会合を設定してあげました。 会合の専門的な詳細は把握できませんでしたが、 何とか折衷案を探せたようです。

    毎月10万円の広告予算は、取り敢えず今期は5万円で佐藤君には納得してもらいました。 月に5万円という額は現状の通信販売の粗利とほぼ同額でしたが、 このまま、まともな売上を作れないようではやる意味がなく、 粗利分を広告費に使うだけなので赤字にはならないと言って社内を説得しました。

    結果として、売上10倍は1年前倒しの4年で達成できました。 鈴木課長は部下がやりたいことを支援する形に持っていくと、 部下が自分の言うことを聞くようになるというヒントを掴んだようです。

  • 目標制度の手引き 目次

    その他、目標制度がうまく行かない理由に心当たりがあれば、下記のリンクからお読みください。

  • 【目標制度の課題】社員の目標達成に対する熱意を持続させる

    ●なぜ多くの「目標」はお題目に終わるのか

    もし、下記の例に思い当たることがあるなら、是非、次の文章を読んでみてください。

    ある調査によると、いわゆる目標管理制度の普及率は88.5%にのぼるそうです。本誌をお読みの皆さんの会社でも既に導入済みなのではないでしょうか。これだけの普及率ではありますが、組織目標を部署目標、個人目標に落としていくという概念はご存知でも、やってみるとうまくいかないという会社もあるようです。実際に目標達成がうまく機能しない事例をよく耳にします。まずはうまくいかない例を検討してみます。

    例2: 目標に対する熱意が持続しない。

    一旦、目標を設定しても、その熱意が長続きしないという会社もあります。人間は飽きやすいものではありますが、目標はどのように忘れ去られてしまうのでしょうか。

    • 社員に自分の頑張りと今後のイメージを持たせる
    • 社員に給与を上げられる前提を理解させる
    • 組織目標と個人目標の関係を意識させる

    社員に自分の頑張りと今後のイメージを持たせる

    皆さんの会社の社員は、会社の業績がよくなることで、個人の報酬も改善されるということが腑に落ちているでしょうか。ここの繋がりがしっかり理解できていないと、何のために(会社の為=自分の為)頑張るのか理解できないことになります。

    部署や個人の目標とは、組織の目標の一部であると同時に、その構成員や社員の個人の目標に他なりません。社会人は仕事を通じて自己実現を図るという側面があります。つまり仕事で成功することによって、人生の成功の一部になるという考え方です。

    特に若年者は自分の頑張りが自分の今後にどうつながっていくかという点が不明確な場合があります。この部分を丁寧に説明する必要があるでしょう。自然に給料が上がっていくのはどの業界でも30代中盤が限界でしょう。20代であれば生活費にそれほどお金が掛かるという実感がないでしょう。それ以降、例えば子供が大学に入る頃には大きな資金が必要です。それに備える為にはより価値の高い(顧客に評価される)仕事をすることが求められます。会社も頑張るが社員も頑張らなければならなりません。ベテランのビジネスマンには当然のことではありますが、若年者にこういった会社の仕組みを理解してもらうことは効果が高いと考えられます。

    社員に給与を上げられる前提を理解させる

    ある会社では、社長は常に社員の為と言いながら、社員の平均給与を上昇させる具体的な方策を社員に話していないようです。社員の納得度を高め、より意欲的に働いてもらう方法はないでしょうか。

    社員の給与を向上させるためには、労働生産性を向上させながら、労働分配率(粗利高人件費率)を抑制していく必要があります。粗利から経費を引いた額以上に人件費を上げることはできませんので、この点も社員に良く理解してもらう必要があるでしょう。社員の中には経営者が給与を決めていると思っている人もいるかもしれません。実は経営者は分配を決めているだけであり、総額を決めているのはお客さんなのです。

    労働分配率(粗利高人件費率)が上昇すると、その他の固定が賄えなくなったり、会社の将来への投資ができなくなり、会社としての安定性を大きく損ないます。結局、社員の平均給与を上げる為には社員一人当たりの粗利を増やすしかありません。この理屈をしっかり説明する必要があります。

    社員達の為という視点をいれるのであれば、全社目標に労働生産性という指標を入れても良いかもしれません。経営者も社員もお互いに納得した上で、約束することが大事です。

    【姉妹サイト】労働生産性: 社員の給料を上げるには?

    組織目標と個人目標の関係を意識させる

    ある会社では社員向け経営目標&経営計画発表会がないそうです。社長は社員の気持ちが会社に向いていないと嘆いているようですが、こんな会社はどうでしょうか。

    マネジメント理論に依ると、人間には承認欲求というものがあるそうです。つまり、周囲に認められることによって人間は満足を得るという考え方です。だとすれば、目標設定も、全社目標の中の重要な一部分として部署目標、個人目標があるということを伝えていくことも重要ではないでしょうか。ここが動機づけ(モチベーション)に繋がります。

    特に部署目標(=管理職の目標)に留まらず、社員個人の目標を設定する際には、全体目標・組織目標と個人目標の関連性を強く意識させると良いでしょう。例えば経営目標・経営計画の社員向け発表会はその一例になります。全社員を集めるという日程調整が難しければ、管理職から部下に説明させる方法や経営者が動画で説明する方法もあります。

    経営計画発表会: 幹部、中核社員の自覚を促すには?


    例3: 低い目標に集中してしまう
  • 目標制度の手引き 目次

    その他、目標制度がうまく行かない理由に心当たりがあれば、下記のリンクからお読みください。

  • 【課題】管理職の意欲・能力が低い: 目標制度をうまく運用する方法

    ●なぜ多くの「目標」はお題目に終わるのか

    もし、下記の例に思い当たることがあるなら、是非、次の文章を読んでみてください。

    ある調査によると、いわゆる目標管理制度の普及率は88.5%にのぼるそうです。本誌をお読みの皆さんの会社でも既に導入済みなのではないでしょうか。これだけの普及率ではありますが、組織目標を部署目標、個人目標に落としていくという概念はご存知でも、やってみるとうまくいかないという会社もあるようです。実際に目標達成がうまく機能しない事例をよく耳にします。まずはうまくいかない例を検討してみます。

    例5: 管理職の意欲・能力が低い

    部門別採算制を導入する

    社員の意欲はさておき、管理職の意欲・能力が低いという会社もあります。ある会社では社長が心配性で管理職に任せきれず、現場に口を出してきて、一挙手一投足指導するそうです。これでは管理職の意欲・能力は高まりません。

    そもそもマネジメントとは何をすれば良いのでしょうか。本稿のテーマは目標設定ですので、ここでは何とかして目標を達成することをマネジメントとして考えてみます。目標を達成する為には、実績を見ながら、予実差異が負の方向に振れている場合には対策を打つことが必要です。経営者は会社の舵取りをする役割から、資金の流れやその他の会社の状態を把握する方法を知っています。それでは、管理職はどうでしょうか。管理職が状況を把握できるようになっているでしょうか。管理職に目標達成の機能を担わせるためには、管理職が担当する部署の実績が分かることが重要です。

    管理職に対し部署の実績を可視化する方法の一つとして部門別採算制があります。

    部門別採算制は全社の試算表を部署別に分割したものです。部署別試算表は外部に公開する資料ではなく、内部で活用する資料であり、また、目標達成のために活用するものですので、正確性より速報性が求められます。多くの会社では、売上及び原価、その他変動費は販売管理システム等から出力し、固定費は決め打ちしているようです。

    つまり、売上、原価等の即時性が必要なものは普段活用しているシステムから出力し、固定費は予算制を敷いているということです。経理担当者は末締め後、月次試算表が出てきた時機に、部署別試算表の合計と月次試算表との差異を確認します。勿論、細かい差異はあるでしょうが、大きくズレてなければ許容範囲とします。

    技術的な話になりますが、固定費は当該部署に専ら帰属するものと、全社の共通経費があります。当該部署に専ら帰属する固定費を直接費(直接経費)と呼びます。ここをしっかり分けておくと、管理職に固定費の管理をさせる為に、部署経費を精査させることが容易になります。

    部門別採算制は管理職の能力を飛躍的に高めます。管理職は経営者に比べて、入手できる社内の情報が大幅に少ないものです。情報量が少ないことは組織上、当然のことですが、これが結果的に管理職の能力の発露を妨げてしまいます。管理職が自分の部署の実績が適切に把握できれば、そこから利益を最大化させるにはどうしたら良いかという視点が生まれます。この視点が自発性を生み、自分から考えることが管理職の能力を高めます。

    部門別採算制は管理職に目標達成を支援するツールですが、副次的に管理職の裁量を増やすことができます。経営者は即時に各部署毎の実績が分かるので、計画通りに実績が出ている部署に対する指導が不要になります。管理職としても目標を立て、計画を達成していれば大きな自信につながります。

    事業・部署の成績を見える化する部門別採算制

    【姉妹サイト】業務活動と財務結果の関係を可視化する管理会計コンサルティング(KPI)

    経営計画発表会: 幹部、中核社員の自覚を促すには?

    中核社員、管理職の能力を伸ばす経営会議


    例6: 目標が達成できない
  • 目標制度の手引き 目次

    その他、目標制度がうまく行かない理由に心当たりがあれば、下記のリンクからお読みください。