社内のPDCA: 社内の仕組みを考える上でのポイント

1. 全社一丸となって目標達成をする仕組み

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社員のモチベーション・責任感に関する基礎理論のページで、組織目標があり、個人がそれに応じて行動目標を立て、結果を確認するという流れが、結局は組織の活性化につながるということが少し明確になってきたと思います。ここからは、じゃあ、具体的に「どうやって」という方法論について記述します。

話の流れを課題、要件、施策の3つに整理してみました。

課題 要件 施策
  • 組織には目標が大事。個人の目標が組織の目標につながる。

  • 職場環境や報酬を変えたとしても人間を動かすには限界がある。組織目的が必要。

  • 人間は自分で決めたことを最も効率的に行う。

  • 自分の行動に対して結果が客観的に分かる仕組みが必要。

  • 経営理念、経営目標を明確にして、社員に発表する。

  • 社員は経営理念を元に、自分で単年度の行動計画を策定する。

  • 実際にやってみた結果を常に確認し、必要に応じて対策を打つ。

  • 経営計画策定及び発表会

  • 社員、部署のの単年度行動計画及び数値計画の策定

  • 「どうしたらできるか」に焦点を当てた達成会議の開催


業績を改善している会社の秘訣
経営の基本は、計画を立て、事業を行い、それを評価し、悪い点を改善していく仕組みにあると言われます。この仕組みに社員を巻き込んで行く為に経営計画発表会や対策会議があります。勿論、その為には業績が適時(タイムリーに)分かる仕組みが必要です。

「経営計画なんて作っても…」とおっしゃる方もいらっしゃいますが、これを作り、発表することが社員を巻き込む秘訣のようです。

目次

組織とは?: 組織成立の3条件

このサイトのテーマは「社員のモチベーション・責任感を高める」ということですが、そもそも組織とは何でしょうか。皆さんは組織といえばどういうイメージを持つでしょうか。この最も根源的な質問に答えた古典的理論として、ここでは組織成立の3条件(組織の3要素)を再考してみます。


組織成立の3条件、C.I.バーナード、共通目的、協働意識、意思疎通


C.I.バーナードは米国の電話会社の経営者でした。彼は組織を「意識的に調整された2人またはそれ以上の人々の活動や諸力のシステム」と考えました。まず、烏合の衆では組織とは言い難く、意思を持ってお互いに協調するのが組織という訳です。

バーナードは組織を協働という概念で説明しました。人間には肉体的・能力的にどうしても制約があり、そのために目的を達成できない可能性があります。しかし何人かの人が集まって、持っている力を合わせてお互いに補いあえば、目的を果たすことができるかもしれません。そのような人間の集まり、つまり協働するということが組織が成立することにつながると考えました。

そこで組織の3要素として、

  • 共通目的(組織目的)

  • 協働意思(貢献意欲)

  • 意思疎通(伝達)

の3つが必要だという結論に至りました。

共通目的(組織目的)

現代風に言うと「経営理念」や「経営ビジョン」となるのでしょうか。逆にいうとこれがなければ組織たり得ないということでしょうか。一緒に働いていたとしても、共通目的がなければ、システムの歯車に過ぎません。そうなりがちな人々を有機的に結び付けていくためには「錦の御旗」である共通目的が必要だと考えられます。

但し、組織目的は社会にとって受け容れられるもので、市場で有効なものである必要があります。この状態を彼は組織存続の為の条件の1つである外部均衡という言葉で表しました。市場にとって有効な組織目標でないと売上が上がらず、組織の存続も考えられません。

▶ 【姉妹サイト】経営ビジョンの事例・具体例

▶ 【姉妹サイト】経営理念の事例・具体例

▶ 【姉妹サイト】経営理念を浸透させる方法、具体例

協働意思(貢献意欲)

組織のメンバーの一緒に働きお互いの役に立ちたいという意識のことです。これが全くなければ、例えば「蟻」や「蜂」の群れのようなものになってしまうのかもしれません。即ちシステムの一環としては機能していても、組織というのは物足りないのでしょう。皆さんの組織はどうでしょうか。自分の仕事はしっかりしてくれるんだけど、貢献意欲に乏しい人もいるかもしれません。社員の貢献意欲が低いことを、社員のモチベーションが低いと言うこともあります。

意思疎通(伝達)

メンバー間の意思疎通、リーダーとメンバーの意思疎通、何らかの意思疎通があって初めて組織として成立するという考え方です。うまく行っていない組織はまずこの点を考え直した方が良いのかもしれません。

こうやって見てみるとバーナードの理想も見えてくると思います。共通の目標があって、メンバーは貢献意欲があり、適切に意思疎通を行っているのが、彼の理想とする組織という事です。最近の言葉でいうと「チーム」のようなイメージでしょうか。

コンサルティングの現場でも、この「組織成立の3条件」を使って、組織の評価を行うことが良くあります。組織というとなかなか掴みどころがなく、どう評価するか難しいものですが、こういった視点を元に分析すれば、組織の課題が見えてきます。コンサルティングではこの3条件に加えて、永続組織の条件として、メンバー育成を評価します。採用、社内研修、OJT等、要は人材育成を行いメンバーが入れ替わる仕組みが正しく機能しているかを評価します。

バーナードは組織が存続していくための条件についても述べています。所謂、組織存続の2条件と呼ばれ、内部均衡・外部均衡という用語で説明されます。外部均衡とは組織目標が市場にとって有効、即ち市場に与える価値がその費用を上回っていることを言います。また、内部均衡というのは、組織の参加者が「誘因 ≧ 貢献」、即ち貢献以上のリターンがあることを意味します。メンバーが自分が貢献した以上にもらえるものが大きいと考えている状態です。

実際にはメンバーが自分の貢献以上にもらえていると感じる状態を作り出すのは難しいのではないでしょうか。これについては動機付け要因・衛生要因のところで再度説明します。

バーナードの組織論はいかがだったでしょうか。人を動かすにはという視点で見ると、組織目的の設定、貢献意欲の醸成、意思疎通の活性化といった課題が浮かんでくるのではないでしょうか。また、メンバーの貢献に対して何らかの報いを与え、社員のモチベーションを維持させる努力も必要です。