ブラック企業が成り立つ訳は?:動機づけ要因・衛生要因

最近、話題になっているブラック企業、乱暴な言い方をすれば、嫌なら辞めてしまえば良いように思います。劣悪な労働環境でも社員のモチベーション・責任感は下がらないのでしょうか。社員のモチベーション・責任感が下がり、社員が皆やめてしまったら事業として成り立たない筈ですので、ここまで話題になっているのも不思議な話です。

F.ハーズバーグ先生は動機付け要因と衛生要因と言っています。用語は少し分かりにくいのですが、簡単にいうと満足要因、不満足要因と考えることができます。


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F.ハーズバーグ先生は社員の満足が仕事そのものから齎されると考えました。社員の満足(社員のモチベーション)が向上するものとして、達成・承認・仕事内容・責任・昇進などを上げました。一方で社員の不満足、社員のモチベーションを下げる要因として仕事環境を考えました。例えば、会社の方策と管理方針・監督・給与・対人関係・作業条件などが不満足要因(衛生要因)となります。F.ハーズバーグ先生の知見は、満足要因(動機付け要因)、不満足要因(衛生要因)の2つが別個の存在であることを示唆してくれます。

冒頭のブラック企業の例で考えれば、F.ハーズバーグ先生の理論に沿って、ブラック企業は不満足要因(衛生要因)も高いが、満足要因(動機付け要因)も高いと考えられないでしょうか。つまり、満足要因も不満足要因も高いのです。F.ハーズバーグ先生は満足要因として達成・承認・仕事内容・責任・昇進を上げました。ブラック企業は労働基準法を無視しているわけですから、成果は出やすく、加えて人の出入りが激しいので短期間で昇進し責任の重い仕事を任せることができます。但し、権限はないので、昇進して責任が増えれば更に長時間労働でこれに応える必要があります。一方で不満足要因として会社の方策と管理方針・監督・給与・対人関係・作業条件が挙げられています。社員が厳しい管理下におかれ給与も安く長時間労働をしているとすれば、不満足要因は高まります。ただそれを補うだけの満足要因があると考えられないでしょうか。

ブラック企業の話はF.ハーズバーグ先生の理論で簡潔に説明がつきます。

ブラック企業の話はここまでにして、自社のことで振り返ってみます。この理論のいうところは、単純に給料を上げたからといって社員のモチベーション・責任感が高まるわけではない。或いは、高級感溢れる事務所に引っ越したからといって社員のモチベーション・責任感が高まるわけではないことを示唆しているのではないでしょうか。勿論、今現在、労働環境が劣悪であったり、給与が業界水準に比べて著しく低いのであれば、改善する必要があるでしょう。それとは別に仕事の内容で社員のモチベーション・責任感を高める取り組みを進める必要がありそうです。