【課題】管理職の意欲・能力が低い: 目標制度をうまく運用する方法

●なぜ多くの「目標」はお題目に終わるのか

もし、下記の例に思い当たることがあるなら、是非、次の文章を読んでみてください。

ある調査によると、いわゆる目標管理制度の普及率は88.5%にのぼるそうです。本誌をお読みの皆さんの会社でも既に導入済みなのではないでしょうか。これだけの普及率ではありますが、組織目標を部署目標、個人目標に落としていくという概念はご存知でも、やってみるとうまくいかないという会社もあるようです。実際に目標達成がうまく機能しない事例をよく耳にします。まずはうまくいかない例を検討してみます。

例5: 管理職の意欲・能力が低い

部門別採算制を導入する

社員の意欲はさておき、管理職の意欲・能力が低いという会社もあります。ある会社では社長が心配性で管理職に任せきれず、現場に口を出してきて、一挙手一投足指導するそうです。これでは管理職の意欲・能力は高まりません。

そもそもマネジメントとは何をすれば良いのでしょうか。本稿のテーマは目標設定ですので、ここでは何とかして目標を達成することをマネジメントとして考えてみます。目標を達成する為には、実績を見ながら、予実差異が負の方向に振れている場合には対策を打つことが必要です。経営者は会社の舵取りをする役割から、資金の流れやその他の会社の状態を把握する方法を知っています。それでは、管理職はどうでしょうか。管理職が状況を把握できるようになっているでしょうか。管理職に目標達成の機能を担わせるためには、管理職が担当する部署の実績が分かることが重要です。

管理職に対し部署の実績を可視化する方法の一つとして部門別採算制があります。

部門別採算制は全社の試算表を部署別に分割したものです。部署別試算表は外部に公開する資料ではなく、内部で活用する資料であり、また、目標達成のために活用するものですので、正確性より速報性が求められます。多くの会社では、売上及び原価、その他変動費は販売管理システム等から出力し、固定費は決め打ちしているようです。

つまり、売上、原価等の即時性が必要なものは普段活用しているシステムから出力し、固定費は予算制を敷いているということです。経理担当者は末締め後、月次試算表が出てきた時機に、部署別試算表の合計と月次試算表との差異を確認します。勿論、細かい差異はあるでしょうが、大きくズレてなければ許容範囲とします。

技術的な話になりますが、固定費は当該部署に専ら帰属するものと、全社の共通経費があります。当該部署に専ら帰属する固定費を直接費(直接経費)と呼びます。ここをしっかり分けておくと、管理職に固定費の管理をさせる為に、部署経費を精査させることが容易になります。

部門別採算制は管理職の能力を飛躍的に高めます。管理職は経営者に比べて、入手できる社内の情報が大幅に少ないものです。情報量が少ないことは組織上、当然のことですが、これが結果的に管理職の能力の発露を妨げてしまいます。管理職が自分の部署の実績が適切に把握できれば、そこから利益を最大化させるにはどうしたら良いかという視点が生まれます。この視点が自発性を生み、自分から考えることが管理職の能力を高めます。

部門別採算制は管理職に目標達成を支援するツールですが、副次的に管理職の裁量を増やすことができます。経営者は即時に各部署毎の実績が分かるので、計画通りに実績が出ている部署に対する指導が不要になります。管理職としても目標を立て、計画を達成していれば大きな自信につながります。

事業・部署の成績を見える化する部門別採算制

【姉妹サイト】業務活動と財務結果の関係を可視化する管理会計コンサルティング(KPI)

経営計画発表会: 幹部、中核社員の自覚を促すには?

中核社員、管理職の能力を伸ばす経営会議


例6: 目標が達成できない
  • 目標制度の手引き 目次

    その他、目標制度がうまく行かない理由に心当たりがあれば、下記のリンクからお読みください。

  • 【課題】社員のモチベーションが低い、管理職の部下に対する動機づけが弱い: 目標制度をうまく運用する方法

    ●なぜ多くの「目標」はお題目に終わるのか

    もし、下記の例に思い当たることがあるなら、是非、次の文章を読んでみてください。

    ある調査によると、いわゆる目標管理制度の普及率は88.5%にのぼるそうです。本誌をお読みの皆さんの会社でも既に導入済みなのではないでしょうか。これだけの普及率ではありますが、組織目標を部署目標、個人目標に落としていくという概念はご存知でも、やってみるとうまくいかないという会社もあるようです。実際に目標達成がうまく機能しない事例をよく耳にします。まずはうまくいかない例を検討してみます。

    例4: 社員のモチベーションが低い、管理職の部下に対する動機づけが弱い

    折角、良かれと思って目標制度を導入しても、社員の意欲がイマイチということもあります。ここではその原因について述べます。

    • 丸投げや押しつけになっている
    • 主観評価を行っている

    丸投げや押しつけになっている

    ある会社では上から営業目標が降ってきて、中間管理職は数合わせで部下への目標の割り振りをやっているようです。人は押し付けられた目標はやりたくないものです。これでは目標設定が逆効果を産んでしまいます。

    かといって、部下が勝手に決めてきた目標を合わせても、組織目標になりません。ここが目標設定の最も難しいところです。まずは管理職が、組織目標と個人の自主目標をうまく擦り合わせること、そして部下に対して目標を達成させるのが「管理職の仕事」ということを理解する必要があるでしょう。逆にいうとこれができることが管理職の条件の一つということです。

    一般社員が上げてきた目標は、経験や知識の差から、時には個別最適になってしまっていたり、実現可能性の低い施策であったりするでしょう。最初は見当外れの内容が多く、ものの見方や考え方を理解させるのに時間が掛かるでしょう。しかし、そこに丁寧に対応し指導していくことから管理職と部下の対話が始まります。全社の目標を念頭に、その為に何ができるか、何が必要か、職位に応じて考えてもらうというのが、目標設定の要点です。管理職であれば、自分の目標は担当部署の目標になりますし、一般社員であれば業務をこなすこと、能力開発を行うことが目標になるでしょう。まずは目標を達成する為に何が必要だと思うか、管理職が部下に聞いてみることが必要です。

    管理職のための単年度/行動計画のつくり方

    主観評価を行っている

    ある会社では、目標達成の評価が社長の胸三寸で決まってしまうそうです。これでは社員のモチベーションが低くても仕方ないですよね。実際にはこんな極端な会社はないと思いますが、制度設計の際には主観評価の弊害について改めて考えてみる必要があります。

    前述の通り、社員のモチベーションが低い原因には、前述の通り、組織に参加しているイメージが弱いこと、組織の目標達成と個人の利益との結びつきが弱いことが考えられます。それ以外にも、主観評価を多用しているという原因があるかもしれません。評価は目標設定とは直接には関係ありませんが、目標の評価という段階で社員の意欲を削ぐ要因があれば、目標設定もやはりうまくいかないことがあります。

    主観評価というと評価基準の曖昧さが指摘されることが多いと思います。確かに評価者が自分の感覚で評価しているので評価が曖昧になります。ただ、人事評価を100%厳密にすることはできないですし、ある程度の曖昧さが残ることは仕方ありません。

    寧ろ、主観評価が多いと社員の眼が内部(上司や経営陣)に向いてしまい、外部へ向かないことの方が大きな問題です。例えば前述のように社長の胸三寸で評価が決まってしまう会社では、低評価を受けた人は「社長が悪い」と思うでしょう。評価は内部で完結していますので、視線が内部に向いてしまうのは当然です。主観評価をするのであれば、その主観を持った人物、例えば経営者や管理職の言葉に相当の重みがなければなりません。

    問題が会社内部、例えば経営者や管理職など、特定の人物にあると考えてしまっては、改善の萌芽は生まれません。一方で客観的評価では、自分の行動を見直し、次につなげる視点が出てきます。お客さんや外部の所為にすることが常識で考えると難しいからです。

    つまり主観的な評価を排除することで、管理職と部下が一体となり外部環境に左右される目標にどう立ち向かうか、目標をどう達成するかという視点が得られるのです。

    例えば、ある会社の人事部で今年の会社説明会に100名集めるという目標を立てたとします。100名集められなければ、当然、どうしたら集められるかと考えるでしょう。ごくまれに最近の大学生は頭が悪いからと他者の所為にする人がいるかもしれませんが、それは皆さんの会社では例外でしょう。ところが、結局は社長の「今年の人事部は頑張りが足りない」などという主観評価で評価が決まってしまうと、課員の意欲は大幅に減退します。当然、課員は社長が理解してくれないという考えになりがちです。

    評価は目標設定とは違いますが、社員の目標設定への意欲が低く感じられるのは、評価方法に問題がないか考えてみる必要があります。

    【姉妹サイト】人事制度-給与制度の考え方マトメ


    例5: 管理職の意欲・能力が低い
  • 目標制度の手引き 目次

    その他、目標制度がうまく行かない理由に心当たりがあれば、下記のリンクからお読みください。

  • 【課題】目標を決めるのに時間が掛かる: 目標制度をうまく運用する方法

    新年度開始に当たっては、全社的な経営目標を部門、部署、更には個々の社員の水準に落としていく必要があります。本稿では、管理職である皆さんを対象に、今まで私が関わってきた事例を基に、目標による管理について考えてみます。勿論、読者の皆さんの会社の状況と異なることがあるかもしれませんが、適宜読み替えていただき、何かのヒントを掴んでいただければ幸いです。

    ●なぜ多くの「目標」はお題目に終わるのか

    もし、下記の例に思い当たることがあるなら、是非、次の文章を読んでみてください。

    ある調査によると、いわゆる目標管理制度の普及率は88.5%にのぼるそうです。本誌をお読みの皆さんの会社でも既に導入済みなのではないでしょうか。これだけの普及率ではありますが、組織目標を部署目標、個人目標に落としていくという概念はご存知でも、やってみるとうまくいかないという会社もあるようです。実際に目標達成がうまく機能しない事例をよく耳にします。まずはうまくいかない例を検討してみます。

    例1: 目標がなかなか決められない。

    原因: 全社目標、組織目標の浸透が浸透していない

    目標を決定するのに多大な労力と時間が掛かるという会社もあります。営業・販売であれば前年比5%UPであるとか、製造部門であれば原価低減など、比較的目標が立てやすい部署もあるでしょう。一方で総務・管理部門のように単純に数値では語れない部門もあります。

    そんな時は全社目標を考えてみると良いでしょう。まず5年先の会社の状態を表わす経営目標(経営ビジョン)を決定し、その中から達成の為に必要な行動計画を作っていくというのが一般的な方法論です。全社目標がないと前年比を元に目標設定を行うなど、目標設定自体がおざなりになってしまう可能性があります。 また、定量的な目標は前期比から算出するとして、定性的な目標は会社全体を分析し何が必要かを検討しなければなりませんので、難易度は大幅に上がります。

    全社目標が設定されていることで、それを実現する為に各部署で何をすべきかという視点が生まれてきます。例えば、売上1.5倍とするのであれば、人員は充分か、資金は充分かという課題があり、これらの課題を各部署で分担しうまく取り扱っていく必要があります。例えば人員であれば、採用、教育、配属、昇進、昇給等の課題を整理し、目標に合わせた形に変えていく必要が出てくるでしょう。単年度の計画は5年間でやるべきことの中から優先順位の高いものを行うことになります。

    もし、皆さんの会社で目標が決められないということがあれば、全社目標の浸透に見直しの余地があるのかもしれません。全社目標が社員、特に管理職に周知されていることは目標を設定する為の前提条件の一つです。

    全社目標を浸透させるには、経営計画発表会や管理職が自ら部署の計画をつくる取り組みなどがあります。下記に経営計画発表会についての記事へのリンクを掲載します。ご参考まで。

    経営計画発表会: 幹部、中核社員の自覚を促すには?

    原因: 丸投げや押しつけになっている

    丸投げや押しつけ、つまり上司と部下の意思疎通不全(コミュニケーション不足)は、社員が目標を決めるのに時間がかかってしまう原因の一つです。また、社員の意欲を大きく削いでしまいます。

    丸投げや押しつけになっている
    例2: 目標に対する熱意が持続しない

  • 目標制度の手引き 目次

    その他、目標制度がうまく行かない理由に心当たりがあれば、下記のリンクからお読みください。

  • 会社組織の再点検: 組織チェックリスト

    企業経営では個別の課題に取り組む一方、組織全体を俯瞰して再チェックすることも時には必要となる。ここでは組織全体を見渡した上で足りない点を発見していく方法について記述する。例えば、社員のモチベーション、帰属意識が低い、社内に一体感がないといった課題がある場合に、その為に何が必要かという考え方もあるが、今の組織に何が足りないかという視点で考えることもあるだろう。

    直接的に組織の課題を抽出する方法として、従業員意識調査がある。これは匿名の質問票を従業員に送り、回答を集計して組織の課題を抽出する調査である。無論、社員の満足が高まれば収益が改善するわけではないので、社員満足よりも組織にどのような改善が必要かを探る為に用いる。

    一方で定評のある組織論から必要項目を抜き出し、チェックするやり方もある。ここではこちらの方法を説明する。

    コンサルティングの現場ではよく、組織原則と言われる。組織原則はC.I.バーナードの理論で、今なお組織論に対して大きな影響を持っている。C.I.バーナードに依れば、組織には共通目標、貢献意欲、意思疎通が必要とされている。勿論、これだけは組織は成り立たない。組織を永続させていくためにはこれ以外に人材育成が不可欠となる。

    下記は、組織原則に人材育成を加えたチェックリストである。

    組織課題チェックシート

    組織原則 共通目標 経営理念 策定 経営理念・社是・社訓が策定されているか。「何故、仕事をするのかという社員の根本的な疑問に答えるのが、経営理念。経営者の仕事に対する哲学や何をしてお金を貰って社会に貢献するのかという内容を記述する。
    浸透 経営理念(何故、仕事をするのかの答え)が社内に浸透しているか。理念を定めても社内に浸透していないようでは意味がない。経営計画発表会や新年・創業記念日の社長訓示等の際に再確認する。朝礼で唱和する会社もある。
    経営目標 策定 経営目標(経営ビジョン)が策定されているか。経営目標・経営ビジョンは中期計画においてどのような状態を目指すかを示す。一般的には株主・出資者向け、社員向けに異なった指標を用いることが多い。計画を達成したらどういう状態になっているかを表す。
    浸透 経営目標・経営ビジョンが組織内で浸透しているか。組織的な観点では目標とそれによって達成される状態を社員がしっかり理解している必要がある。賞与や平均給与等の報酬面でもしっかりと関係性が理解されていることが重要である。
    経営計画 策定 経営計画が策定されているか。経営計画は経営者が構想を具体化したものである。社員向けの計画書では経営者のみが関与し作成するものではなく、各部署長、各事業部長を巻き込んで計画策定を行うことで、社内の一体感を醸成することができる。
    浸透 経営計画が社内に浸透しているか。社員向けの計画書では各部署、各事業部の行動計画を各社員が充分に把握している必要がある。計画を業務の中で実行に移すのは社員だからである。部署長には自部署内で計画の周知徹底を依頼すると共に、社員向け計画発表会を行うなどの施策を取ることができる。
    貢献意欲 賃金制度 給与水準 給与水準は業界標準以上であるか。賃金に関しては、安いと不満を産み離職を招きやすくなる一方で、高くとも満足度やモチベーションが高まるわけではないと言われている。もし、給与水準が業界標準より低いようであれば、賃上げを含めて考えていく必要がある。
    考課制度 公平性 考課制度は公平、透明であるか。人事の不透明性は不公平感を生みやすい。そこで考課制度が適切に公開されているかを評価する。ここでいう考課制度とは評価基準など制度そのもののことであり、考課結果ではない。個々の従業員の考課結果を発表する必要はない。
    意思疎通 会議体 設立 一般的な組織では、上から下への指揮命令、下から上への行動計画、報告の流れがある。また、機能別に商品・サービス企画開発、営業販売、納品出荷など関連する部署間での意思疎通が必要な事業もある。情報の流れが円滑になっているかを確認する。
    運用 実際に会議を開き、効果的に運用されているか。よくあるのは人数が多過ぎ、上長だけが話し部下からは発言がない(最初からその目的であれば良い)、報告のみに終始し対策を決定する会議になっていないかなど。
    予実対策 実績把握 実績が適時確認できる状態になっているか。予算と実績の差異に対して有効な対策を打っていく為には、成るべく早い段階で予算と実績の差異がいくらなのか知る必要がある。システム、仕組み、運用上これらの情報を現場の担当者が知ることができる状態になっているかを調査する。
    対策実施 仮に予算と実績の差異が分かっているとして、それに対して有効な対策が打てているか。打てていない場合はその原因を潰していく。分かっているが特に何もしようとしていない、何か対策を打つ意志はあるが打てていない、対策を打っているが有効ではない等の原因が考えらえる。
    組織永続性 人事制度 採用 採用制度が正しく機能しているか。充分に採用できているか、採用後のミスマッチが発生していないか。
    人材育成 OJT、Off-JTでの研修が行われているか、また研修は有効であるか。能力開発と下記の登用が結びついているか。
    登用制度 所謂、社内の「キャリアアップ制度」はあるか。組織を見渡した時に将来的に昇進していく道があるか。将来も今のままであると思われると優秀な社員の離職が増える傾向がある。

    期待する変化

    社員が変わり、業績が変わる!

    社員の変化 業績の変化
    illust-employee_change
    何とかするぞ!
    illust-performance_change
    1年目
    • 最初は経営会議をやらされているという意識。半年して数字が分かるようになる。

    • 売上の内訳、経費の中身を知りたくなってきた。

    • 自らできそうなことをやってみることにした。

    • 自部門の利益を出すという行動目標ができた。

    • 必死になって、売上を最大に、経費を最小にしようとした。

    2年目
    • 努力の成果が数字に出てきて、社員のやる気が高まった。

    • 来月の数字を発表することで、これからどうするのかを考えるようになった。

    • 作業効率の上昇で、残業手当が減ってきた。

    • 歩留まりの見える化で材料費が減ってきた。

    3年目
    • 幹部社員の経営者意識が芽生えてきた。部門の目標を語るようになった。

    • 部門会議や朝礼により意識が高まり、全員参加の経営になってきた。

    中核社員、管理職の能力を伸ばす経営会議

    会議に関する悩みは企業にとって永遠の課題です。会議が長い、発言者が少ない等の相談も良くあります。会議を実効性の高いものにする為には、当事者意識を高めることと会議の目的を対策を決定することに絞ることです。

    当事者意識を高める為には、計画策定や経営計画発表会で各自の幸福と企業業績が密接に関連していることを示すとともに、幹部、社員が計画に対して達成を約束することが大事です。

    対策決定を会議の目的にするのは、反省では売り上げは上がらず、対策が売り上げを上げるからです。

    ここでは業績を上げるための達成会議の進め方をお伝えします。詳細は以下をご参考ください。

    5. 業績を上げる経営計画の進め方 (Check・Action)

    5.1. 業績を上げる経営計画の実行

    難しいと思われる目標に対して達成度を高めていくためには、 期間を短く区切り、実行→結果→対策というプロセスを行っていく方法があります。 年、四半期、月次、週次、日次、期間を短く区切ることで確実性が高まります。

    年度計画を達成する為には日次月次で目標を設定する

    いくら計画を作っても実績が出なければ意味がありません。3年後、5年後の目標値がどんなに立派でも、 日次の目標を達成できなければ、年次目標は達成できません。単年度予算は、月次予算が達成できなければ、達成できませんし、月次予算は、日次目標が達成できなければ、達成できないのではないでしょうか。計画は長期から短期に策定しますが、実績は短期が積み上がり、長期の結果となります。

    3年計画 日次計画
    table-5years_plan table-monthly_result
    business_idea3年後の目標は立派でも・・・ business_think今月の目標は未達・・・

    どのぐらいの期間で区切るかは業種等によって異なりますが、下記に単年度、月次、日次の考え方を整理してみました。全て期初に目標を立て、期末に実績と目標の比較を行い、翌期の対策を立てることは同じです。

    計画策定 目標達成
    単年度計画策定 単年度予算達成
    1. 年初に目標を設定

    2. 年末に実績と目標とを比較

    3. 次年度の計画を立てる

    月次計画策定 月次目標達成
    1. 月初に目標を設定

    2. 月末に実績と目標を比較

    3. 来月の計画を立てる

    日次計画策定 日次目標達成
    1. 毎朝、目標を設定

    2. 毎夕、実績と目標を比較

    3. 翌日の予定を立てる

    進め方の基本は過去を反省し、今の計画を見直す

    実際に業務を行っていけば、目標に実績が届かないことがあります。この時には、「何故届かなかったのか」「どうしたら届くのか」という視点で目標を再検討し、どうするのかという点を明らかにします。こうした会議が難しいのは、報告で終わってしまうことが多いからです。単に結果の報告に留まらないよう、1.結果、2.分析(良かった点、悪かった点)、3.対策という流れを周知徹底します。

    もう一つの難しい点は、しばしば責任追及が主題となってしまうからです。誰の責任か突き詰めれば経営者の責任ですので、このやり方には意味がありません。発表する側も責められることで発言しにくい心境に陥りやすく、これから何をしていくかという最重要な点から遠ざかってしまいます。そうならぬように経営者の側から適切に流れを制御する必要があります。

    • 結果しか報告しない ・・・ 悪い例

    • 反省しか言わない ・・・ 悪い例

    • これから頑張りますとしか言わない ・・・ 悪い例

    • これからどうするかを言う ・・・ 良い例

    朝礼で昨日の実績と今日の目標を発表

    朝礼は月次目標を達成する日次管理

    現場が毎日の達成度を知る必要がある

    朝礼では目標に対する達成度を話します。 又、目標を上回っている時は良かった原因、目標を下回った場合は対応策を簡単に話します。 目標を下回った時に原因だけを話さず、対応策についても必ず話すようにします。 原因は幾つもあるでしょうし、「じゃあどうするのか」という対応策が大事だからです。

    朝礼の内容例

    朝礼は目的を持って行うと良いと言われます。 上の例では、「目覚まし」「達成管理」、理念からくる「感謝の気持ち」という3つを目的としています。 朝礼委員会等あっても良いかもしれませんね。

    1. 集合
    2. あいさつ訓練
    3. 昨日の達成度
    4. ありがとうのことば
    5. 締めの号令

    週間予実管理表

    下記は週間予実管理表の例です。累積差異を計算することで、水曜日が終わった時点で△7の遅れが発生しています。これを木・金の2日間で取り戻すことを考えると、1日3.5の上積みが必要になります。目標数値を具体化することで、社員の行動を促す例です。

    週間予実管理表

    5.2 達成会議の実施

    年間の業務の中での振り返りでも特に大事なことが月次の達成会議になります。皆さんの会社でも定例会議をなさっているのではないでしょうか。達成会議でもその他の会議と同様に結果を受けて今後どうするのかという対策を決定することが重要になります。また、経営幹部が集まることで、部署間の調整や経営者との調整も可能となります。

    経営計画発表会で計画数字を発表、達成会議で追いかけていく。
    • 経営計画発表会でPLANを立て、

    • 達成会議で前月実績をCHECK、次月のACTIONを決定

    会議体 参加者 準備 資料
    経営計画発表会 経営者&全社員 業績分析
    中期経営計画
    単年度計画
    中期経営計画書
    単年度計画書
    達成会義 経営者+経営幹部 月次集計
    行動実績確認
    予実管理表
    行動実績一覧表

    業績検討会の進め方 その1 準備

    1. まず、部門別損益計算書を幹部にしっかり理解してもらう

    2. 次に自分の部門の損益がどのようになっているかをしっかり理解してもらう

    3. その結果、どうすれば利益が出るのかを考えてもらう

    images
    目標管理シート

    下記のシートは、会議を行うに当たり、事前に準備しておくシートです。概要→結果詳細→分析→対策という流れをしっかり作ることで、会議での責任追及や反省のみに終始することを防ぎます。

    table-check_action
    数字を理解するポイント
    • 赤字はお金が減っていくこと。

    • 利益=売上-費用

    • 利益=売上×粗利率-経費 ・・・ 利益を増やすには売上を上げるか、粗利率を上げるか、経費を下げるしかない。

    • CF=利益-売掛増加-棚卸増加+買掛増加 ・・・ 売掛、棚卸を増加させないようにする。

    • 行動と数字を結び付けて考えてもらう。値引き→粗利率低下、残業→人件費増加、支払い催促→売掛減少、少量仕入れ→棚卸減少 等々。

    業績検討会の進め方 その2 前月の結果、今月の行動

    1. 前月の結果を反省し、今月の行動予定を話してもらう

    2. 今月の行動予定は、いつ誰が何をして、どう数字に繋がるかを話してもらう

    3. 計画と実績に差がなくなってきたら、月末に業績検討会を開く

    images
    当月計画発表のポイント
    • どのような行動を起こすかが大事。分析・反省だけでは意味がない。

    • 数字をどうするか、何をするかという決意を表明する

    • 計画と実績が合わなければ、週間、日毎で考える

    • 謝罪は不要。どうするかが大事。

    業績検討会の進め方 その3 計画に対する差異

    1. 慣れてきたら、年初に立てた計画数字との比較を意識してもらう

    2. 年初からの達成度を検討し、必要な対策を検討する

    images
    予実差異への対応のポイント
    • 大幅に計画と違えば、再予算つまり経費を絞ることが必要

    • 他部署をどう支援できるのかを考えてもらう

    • 幹部を計画数値達成、他部署への支援で評価する

    • 売上の増減に伴って経費を削減士ながら、他部署への出稼ぎを行う

    業績報告会を有益にする社長の質問
    • 一般社員は行動が大事、管理職は結果が大事。管理職にはその為に権限を与えている筈。結果を出す為にどうすれば良いか。

    • 赤字はお金がなくなっている事。赤字→皆の賞与に影響→借入の増加→最後には倒産という理屈が呑み込めているか。

    • 売上を上げるか、経費を削るか、どうするか考えてほしい。

    • 売上より利益が大事。安易な割引に走っていないか。

    • まずCF、次に利益を見よ。予算差異の原因を追究し、対策を立てよ。

    予実差異の原因掘り下げ


    特に予実差異が悪い方に振れた場合は、原因をしっかり追究します。抽象論ではなく具体的なイメージが湧くまで問題を掘り下げます。問題を掘り下げていくと、どうすれば良いかが見えてきて、行動に繋がります。


    事業・部署の成績を見える化する部門別採算制

    事業別、部署毎に試算表を分けてみることを専門用語で部門別採算制といいます。中小企業ではP/L(損益計算書)のみを事業別、部署毎に作成することが多いですが、中堅企業ではB/S(貸借対照表)も事業別、部署毎に作成することが多くあります。部門別採算制は事業部制・カンパニー制の基礎となる仕組みです。

    4.4 決算書を部門ごとに分けてみる。

    赤字の原因が不明の場合には部署毎にP/L(損益計算書)を作ってみて、計画と実績の差異を見ます。赤字には必ず原因があり、原因を潰さなければ、再び赤字になります。

    どの部署に原因があるか分かったとしても、責任追及はしないことです。常に「じゃあどうするか」という視点で全社で何ができるかということに知恵を絞ることが原因を潰す近道です。

    又、部署毎に採算を計算することにより、各部署長の責任が明確になり、権限委譲がしやすくなります。社長が社員の細かい業務に指導を行う必要がなくなるので、社長の時間が空きますし、「細かい事を言う社長だ」という印象を避けることができます。各部署長はやるべきことと結果が明らかになります。

    部門別採算表の例

    部門別採算

    上記の例では、当初、利益を3.94億円と計画していましたが、実際には2.25億円の利益しか出ませんでした。

    • 売上高で6500万円のマイナスとなっています。

    • 営業部の売上が計画通り行っていません。

    • 製造部の社内売上は無視します。製造部は営業部が売った分だけをつくるからです。

    • ただ、製造部は在庫を膨らませてしまっています。

    • 全社で固定費が大きくなってしまっています。

    • 特に人員の多い製造部で、計画より固定費が増えています。

    結論として、営業部は売り上げ目標達成に努力し、製造部は在庫管理と固定費の管理を徹底する必要があるのが分かります。

    【姉妹サイト】部門別採算制の設計

    経営幹部・中核社員の能力開発の方法

    社員の能力が低いとお嘆きの経営者も多いようです。実際、中小企業では優秀な人材を採用するのが難しいですよね。そこで見方を変えて、普通の人材を優秀な人材にする能力開発の方法はないかと考えてみます。よくあるのは社内研修です。新入社員研修や管理職研修など、様々な研修があります。ところが、ある調査によると、社内研修よりも実地での経験の方が能力開発に効果があるそうです。

    要領よく実地での経験を積むためにはプロセスの見える化が不可欠です。プロセスが見えなければ、経験をそもそも積んでいるのかどうか分かりません。ここでは各部署の数値結果を明確にし、それにどう対応していくかというプロセスを考えてみます。

    4.1 会社が大きくなってきたら、予実検討会議を開く

    会社が小さいとき 社長だけが数字に強くても会社は成長する
    考えているのは社長だけ。
    会社が大きくなってくると 幹部が数字に強くならないと会社は成長しない
    幹部にもしっかり考えてもらい業績を伸ばす。

    会社が大きくなってくると、社長が全ての業務を見ることが難しくなりますし、 経営幹部の力を活かすことで組織力を発揮することができるようになります。 経営幹部に力を発揮させるには、担当の部署の数字(結果)がハッキリわかっていることが大切です。 結果が直ぐに分かれば分かる程、改善の速度は速くなります。

    chart-departmental_pl

    経営における最終的な結果というのはやはり収益ではないでしょうか。上記の例では、営業部、製造部、管理部を事業部として捉え、損益を事業部別に表示しています。部署別に部署長の判断の結果が直ぐに分かれば、改善も容易になります。部門別採算制に関しては下記のURLもご参考ください。

    4.2. 幹部が数字に強くなるには

    「そうはいってもウチの管理職は数字なんて分からないよ」という会社もあります。誰でも最初は分からないものですが、自ら考えていれば、自ずと理解できてくるものです。そこで役員会や部長会議の場で結果を数字で発表してもらいます。

    • 数字で発表してもらう

    • どうしたら良いのかを発表してもらう

    「何故悪かったのか」ではなく「どうしたら良いのか」を発表すると、 経営幹部や中核社員の責任感を育てることができます。 社長以外の責任は、経営責任ではなく、何とかして目標を達成する責任だからです。つまり、結果責任ではないので、どうするかという行動の責任を明確にしてもらうのです。

    経営の多くのプロセスは、分析(良かった点、悪かった点)→行動計画(誰がいつまでに何を)→資源の調達計画(経営者の理解、他部署との調整、資金繰り)→数値計画(損益計画)という流れを取ります。たまに分析だけで終わっている報告を見るのですが、それでは不足しています。どういった仮説をもとに、いつまでに何をして、必要なものは何で、結果としてこうなる筈だということがなければなりません。ここは経営幹部の報告が分析で終わっている場合には適切な方法で導いてあげる必要があります。

    ss_meeting_05

    4.3. 数字に強い幹部を育て、利益がでる組織をつくる

    具体的に数字のどこに着目すればよいかをコンサルティングの実際に合わせて以下の通りまとめてみました。

    1. 簿記ではなく、実態に即した数字を把握する

      経理部長や税理士の先生は正確な数字を計算することに注力しています。これは税務署に報告する数字を扱っているからと考えられます。一方で経営の数字は成るべく直ぐに分かることが重要です。簿記の知識がなくてもまずは要点を抑えることを目指します。

    2. 利益を出す為に数字を確実に把握する

      1. 各勘定科目の金額の大きいところから意味を知る

      2. 数字の内訳に注目する
        ・ どこからいくらもらっているのか?
        ・ どこへいくら支払っているのか?

      3. 現在の計画達成度を知る
        ・ 計画通りなのか、計画には足りないのか?

      4. どうすれば今以上に利益を増やせるのか?

      5. 来月・来週・明日、するべきことは何か

      6. これらのことを会議で発表する

        前月は○○の利益でした。来月△△を行い、利益を□□にします。

      各科目を検討する際には数字の大きいものから順に考えていくほうが良いでしょう。数字の大きい科目を改善することができれば、それだけ成果も大きいと考えられるからです。一方で、科目の内容を検討する際には売上とその元となるもの、例えば仕入れ、製造原価、広告費などを検討していきます。

    3. 継続的に取り組みを行うと、利益が残る組織体質になる

    4. 取り組みはやはり継続することにより組織体質が強化されます。

    業績を改善している会社の秘訣

    1. 成長している会社は社長も幹部も数字に強いようです。

    2. 社長や社員が数字に弱ければ、結果に対する意識が弱くなり、 結果を出すのがむずかしくなります。

    3. また、結果が分からない為、改善が進みません。

    4. これでは生き残りが難しくなります。

    経営計画発表会: 幹部、中核社員の自覚を促すには?

    3. 経営計画発表会

    計画は作るだけでは絵に描いた餅です。では実際に実行していくためには何が必要なのでしょうか。一つの工夫として経営計画発表会があります。こういった機会を改めて設けることで、会社の現状、進む方向性を社員の間でも共通の認識とするわけです。

    また、経営幹部(マネジメント・管理職)には必ず決意を述べてもらいます。経営幹部にも社内の人に対して自分の考えを発表してもらうことで、責任感を醸成することができます。社長の思いや構想を、経営幹部もコミットした社内の約束事とします。

    ここで発表する経営計画も基本的には他の利害関係者(金融機関・株主等)発表する内容と同じです。 但し社員・従業員の方には、経営者である皆さんができなかったり、 やりきれなかったりすることをお願いすることになりますので、 社員・従業員の皆さんの協力があって始めて、 目標が達成できるという筋書きにします。 これが社員・従業員の方の責任感を養うことに繋がります。 つまり、経営者も社員もお互いにやるべきことを明白にし、 目標達成を約束するわけです。

    社員が幸せになる考え方

    経営者として

    正直に言ってしまいますが、ほぼ全ての経営者が「社員は経営者である自分のことを分かってくれない。もう少し優秀な社員がほしい。」と心の中では思っています。これは社内には経営者が一人しかおらず、尚且つ立場の差が著しく違うので仕方ない側面もあります。社員を巻き込んで改善をうまくやっている経営者は、こんな時に自分の気持ちは抑えて、社員ではなく仕組みに目を向けているようです。

    • 改善につながらない考え方 ・・・ 「社員は俺のことを分かってくれない。もう少し優秀な社員がいれば…」

    • 改善に繋がる考え方 ・・・ 「社員に経営者意識が薄いのは仕組みがないからだ。仕組みを作る必要があるな。」

    社員として

    ご存知の通り、多くの一般社員は「安定して豊かな生活を送りたい」という以上の考えを持っていません。そこで、会社に対して当事者意識を持ってもらう為に理屈を繰り返し説明することが必要になります。まずは部署の責任者に権限を与えると共に結果を明確にします。加えて、部署の責任者の計画を発表会で発表し、経営者及び一般社員に対する約束事としてもらいます。

    1 安定して豊かな生活を送りたい。 business03_smile
    2 その為に必要な事
    ・各社員が経営者意識を持って仕事にあたる
    ・倒産しない強い会社をつくる
    3 illust-biz_mind
    4 その為に必要な事
    1. 部署毎の結果が分かるように、部門別決算書をつくる

    2. 部門の責任者が計画と実績の数字について発表を行い、一般社員に聞かせる

    3. 社員が数字に強くなり、数字を上げる方法に意識が向く

    発表会式次第

    1. 前期の振り返り

    2. 中期経営目標

    3. 今年の方針

    4. 各部門の行動計画

    5. 社長の訓示


    経営計画発表会は、社員に対して過去と未来に 目を向けさせるような内容とします。 司会は社長以外の人にお願いしたほうが良いでしょう。

    前述の通り、経営幹部からも各部門・各部署の計画を発表してもらいます。改めて何をすべきかという点を明確にします。 説明会ではないので、この時点では特に質疑応答のようなものは不要です。 疑問点があれば幹部から社員に個別に話してもらいましょう。

    同様に社長や会長・取締役から発表した幹部に対して、 厳しい質問をするのも避けたほうが無難だと思います。 むしろ計画に対して経営陣全員がコミットしていることを 社内に印象付けたほうが得策と思われます。


    4月決算での日程

    下記に4月決算の場合の年間予定表を例示しました。

    毎年度の計画はだいたい1ヶ月前から準備を始める会社が多いようです。目標の設定までは経営者が時間を取って行う必要がある為、 この時期の時間を前もって考えておく必要があります。

    始めて各部署の計画を集約した全社計画を作るには、2ヶ月前から準備を始めると比較的楽な日程となります。 計画策定は各部署長への計画記入用紙の配付、経営者の各部署への目標設定、各部署長の計画策定、各部署の計画集約&全社計画策定という手順を取ります。 もし、各部署長が初めて計画の数字を作るのであれば、 余裕をもって習熟する時間を与えたほうが結果としてうまく行きます。

    発表会は4月に行い、5月からは達成管理や達成会議を行い、 各部署の計画進捗を確認していくことになります。


    年度 税務会計 Plan Do Check Action
    前年度 3月 確定申告 ① 業績分析
    ② 中期計画
    ③ 単年度計画
      ⑤ 達成管理
    (年次)
     
    来年度 4月   ④ 経営計画
    発表会
      ⑤ 達成管理
    (月次)
     
      5月 決算業務
    申告業務
    ⑥ 決算
    リスク分析
      ⑤ 達成管理
    (月次)
     
      6月       ⑤ 達成管理
    (四半期)
     
      7月       ⑤ 達成管理
    (月次)
     
      8月       ⑤ 達成管理
    (月次)
     
      9月       ⑤ 達成管理
    (四半期)
     
      10月       ⑤ 達成管理
    (月次)
     
      11月  中間申告     ⑤ 達成管理
    (月次)
     
      12月       ⑤ 達成管理
    (四半期) 
     
      1月 法定調書     ⑤ 達成管理
    (月次)
     
      2月       ⑤ 達成管理
    (月次)
     
      3月  確定申告 ① 業績分析
    ② 中期計画
    ③ 単年度計画
      ⑤ 達成管理
    (年次) 
     


    業績を改善している会社の秘訣
    計画は作るだけでなく、社員の前で発表する。発表することにより

    1. マネジメント・管理職に自覚を促すことができる

    2. 社員の会社経営に参加している意識を高めることができる

    3. 社員の会社との一体感を高められる

    業績を上げる経営計画の作り方

    2. 業績を上げる経営計画の作り方

    経営計画も業績を上げるためにあるというと可笑しく聞こえるかもしれません。しかし、事業の一環としてやっているからにはやはり業績を上げる一助でなくてはなりません。経営計画は、社長の構想を利害関係者に知らせるためのものです。企業の利害関係者の中で特に関係が深いのが「社員」です。ここでは社員を巻き込んで経営計画を策定することで業績をどう上げいくかを考えます。

    2-1. 中長期計画と単年度計画


    1. 中長期計画は社長の夢を入れる


      woman_ureshii


      「5年後の利益計画など当てにならない」とおっしゃる方もいます。確かに環境の変化が速い中で5年後の計画は当てになりません。寧ろ、中長期計画は細かい内容よりも自分と社員に向けて方向性を示し、到達点を明らかにすることであると考えることができます。



      5年間の中期経営計画は毎年作り直す方も多くいらっしゃいます。毎年、作り直すことで中期経営計画を最新に保ち、実行可能性が失われないようにしています。



    2. 単年度計画は行動計画をしっかり盛り込む


      man_kangaechu


      単年度の計画は必達目標とし、詳細を練ります。5年後の未来を踏まえて、じゃあ今年はどうするのということを明らかにします。社長とそれぞれの社員が何をするのかという点を明確にします。



    3. これを実現していく為に

      1. 月次や日次の目標をたてて行動する

      2. 目標に対する実績の振り返りを行う

      立てた目標を達成して行く為の仕組みが、先程述べたPDCAということになります。振り返りの頻度は月次で良い場合もありますし、週間が良い場合もあります。運用開始当初は期間を短めにとった方がうまく行く場合が多いです。

    2-2. 年度計画策定のプロセス

    1. 中期経営計画から導かれる今期の方針を示す

      中期経営計画で示された理想や目標を達成する為に今期の方針を社長が示します。

    2. 各部門の責任者が数字と具体的行動計画を示す

      社長の方針を受けて各部門の責任者が利益計画と具体的行動計画を作ります。
      利益計画は社長を含めたマネジメントの決意表明となります。反対の言葉でいうと利益計画を約束できない役員・管理職はその任にあたる資格がないと言えます。

      1. 具体的取組み
      2. 利益計画


    3. 社員向け経営計画発表会

      一般社員向けに今期の計画、即ち目標と行動計画を発表します。

    2-3. 経営計画の作り方

    1. 経営理念

      経営理念は経営者の個人的な仕事に対する哲学を言葉にして発表したものです。下記に策定方法の詳細がありますので、納得できるものを作ってみましょう。

    2. 経営Vision(経営目標)

      経営Visionは中期的な定性目標を言い、経営目標は定量目標を言うことが多いです。

    3. 現状分析

      現状分析は自社外の分析と自社内の分析を行います。自社外の分析として、外部環境分析や業界動向があり、自社内の分析として、財務分析、自社の強み分析、従業員意識調査等があります。

    4. 戦略

      戦略とは方向性のことです。大手企業や競合の動向を考えながら、最もリスクが少なく、収益が大きい道を探しましょう。

    5. 課題&施策

      Visionと現状の差異と、戦略から経営課題が抽出され、それを達成し、目標を実現する施策が必要となります。

    6. 行動計画

      どういう施策を行っていくか、事業計画を策定します。又、施策がどういう形で結実するか、計画を実施するに当たり財務的な問題が生じないかを計画を作って検証します。当社の業務の中で売上につながる活動量や数量を元に売り上げ方程式を作ります。これを元に行動計画を策定します。

    7. 財務計画

      前述の売上計画、販売計画を元に粗利を計算し、固定費との差異で利益を算出します。売上に付随して増加する売掛、在庫、買掛等の各要素をB/Sに盛り込みます。

    経営計画は、専門的には上記の過程を経て作成しますが、計画を作ること自体が目的ではありませんので、大幅に簡略化して 「1.経営理念、2.基本方針、3.活動計画」という簡単なものでも良いでしょう。大切なのは、社長と従業員が納得できる内容であることです。

    2-4. 中期経営目標


    中期経営目標は、設備投資、賞与原資、借入金の返済から利益計画を立て、目標を逆算します。

    中期経営目標

    2-5. 単年度経営計画

    中期経営計画より1年分を切り出します。売上高は季節変動を加味したものとし、又、地代・家賃や賞与等、特定のタイミングでお金が出ていくものを勘案します。

    単年度経営計画

    2-6. 行動計画


    重点施策
    行動計画ガントチャート


    業績を改善している会社の秘訣
    1. 中長期計画は社長と従業員が期待が持てるものとする。

    2. 単年度計画は確実なものを作る。

    3. 社長の方針を受けて、各部門が数字をつくる。最終的には「いつまでに」「誰が/どの部門が」「何を」行うかまで詰める。