【課題】目標を決めるのに時間が掛かる: 目標制度をうまく運用する方法


新年度開始に当たっては、全社的な経営目標を部門、部署、更には個々の社員の水準に落としていく必要があります。本稿では、管理職である皆さんを対象に、今まで私が関わってきた事例を基に、目標による管理について考えてみます。勿論、読者の皆さんの会社の状況と異なることがあるかもしれませんが、適宜読み替えていただき、何かのヒントを掴んでいただければ幸いです。

●なぜ多くの「目標」はお題目に終わるのか

もし、下記の例に思い当たることがあるなら、是非、次の文章を読んでみてください。

ある調査によると、いわゆる目標管理制度の普及率は88.5%にのぼるそうです。本誌をお読みの皆さんの会社でも既に導入済みなのではないでしょうか。これだけの普及率ではありますが、組織目標を部署目標、個人目標に落としていくという概念はご存知でも、やってみるとうまくいかないという会社もあるようです。実際に目標達成がうまく機能しない事例をよく耳にします。まずはうまくいかない例を検討してみます。

例1: 目標がなかなか決められない。

原因: 全社目標、組織目標の浸透が浸透していない

目標を決定するのに多大な労力と時間が掛かるという会社もあります。営業・販売であれば前年比5%UPであるとか、製造部門であれば原価低減など、比較的目標が立てやすい部署もあるでしょう。一方で総務・管理部門のように単純に数値では語れない部門もあります。

そんな時は全社目標を考えてみると良いでしょう。まず5年先の会社の状態を表わす経営目標(経営ビジョン)を決定し、その中から達成の為に必要な行動計画を作っていくというのが一般的な方法論です。全社目標がないと前年比を元に目標設定を行うなど、目標設定自体がおざなりになってしまう可能性があります。 また、定量的な目標は前期比から算出するとして、定性的な目標は会社全体を分析し何が必要かを検討しなければなりませんので、難易度は大幅に上がります。

全社目標が設定されていることで、それを実現する為に各部署で何をすべきかという視点が生まれてきます。例えば、売上1.5倍とするのであれば、人員は充分か、資金は充分かという課題があり、これらの課題を各部署で分担しうまく取り扱っていく必要があります。例えば人員であれば、採用、教育、配属、昇進、昇給等の課題を整理し、目標に合わせた形に変えていく必要が出てくるでしょう。単年度の計画は5年間でやるべきことの中から優先順位の高いものを行うことになります。

もし、皆さんの会社で目標が決められないということがあれば、全社目標の浸透に見直しの余地があるのかもしれません。全社目標が社員、特に管理職に周知されていることは目標を設定する為の前提条件の一つです。

全社目標を浸透させるには、経営計画発表会や管理職が自ら部署の計画をつくる取り組みなどがあります。下記に経営計画発表会についての記事へのリンクを掲載します。ご参考まで。

経営計画発表会: 幹部、中核社員の自覚を促すには?

原因: 丸投げや押しつけになっている

丸投げや押しつけ、つまり上司と部下の意思疎通不全(コミュニケーション不足)は、社員が目標を決めるのに時間がかかってしまう原因の一つです。また、社員の意欲を大きく削いでしまいます。

丸投げや押しつけになっている
例2: 目標に対する熱意が持続しない

  • 目標制度の手引き 目次

    その他、目標制度がうまく行かない理由に心当たりがあれば、下記のリンクからお読みください。



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