【目標制度の課題】社員の目標達成に対する熱意を持続させる


●なぜ多くの「目標」はお題目に終わるのか

もし、下記の例に思い当たることがあるなら、是非、次の文章を読んでみてください。

ある調査によると、いわゆる目標管理制度の普及率は88.5%にのぼるそうです。本誌をお読みの皆さんの会社でも既に導入済みなのではないでしょうか。これだけの普及率ではありますが、組織目標を部署目標、個人目標に落としていくという概念はご存知でも、やってみるとうまくいかないという会社もあるようです。実際に目標達成がうまく機能しない事例をよく耳にします。まずはうまくいかない例を検討してみます。

例2: 目標に対する熱意が持続しない。

一旦、目標を設定しても、その熱意が長続きしないという会社もあります。人間は飽きやすいものではありますが、目標はどのように忘れ去られてしまうのでしょうか。

  • 社員に自分の頑張りと今後のイメージを持たせる
  • 社員に給与を上げられる前提を理解させる
  • 組織目標と個人目標の関係を意識させる

社員に自分の頑張りと今後のイメージを持たせる

皆さんの会社の社員は、会社の業績がよくなることで、個人の報酬も改善されるということが腑に落ちているでしょうか。ここの繋がりがしっかり理解できていないと、何のために(会社の為=自分の為)頑張るのか理解できないことになります。

部署や個人の目標とは、組織の目標の一部であると同時に、その構成員や社員の個人の目標に他なりません。社会人は仕事を通じて自己実現を図るという側面があります。つまり仕事で成功することによって、人生の成功の一部になるという考え方です。

特に若年者は自分の頑張りが自分の今後にどうつながっていくかという点が不明確な場合があります。この部分を丁寧に説明する必要があるでしょう。自然に給料が上がっていくのはどの業界でも30代中盤が限界でしょう。20代であれば生活費にそれほどお金が掛かるという実感がないでしょう。それ以降、例えば子供が大学に入る頃には大きな資金が必要です。それに備える為にはより価値の高い(顧客に評価される)仕事をすることが求められます。会社も頑張るが社員も頑張らなければならなりません。ベテランのビジネスマンには当然のことではありますが、若年者にこういった会社の仕組みを理解してもらうことは効果が高いと考えられます。

社員に給与を上げられる前提を理解させる

ある会社では、社長は常に社員の為と言いながら、社員の平均給与を上昇させる具体的な方策を社員に話していないようです。社員の納得度を高め、より意欲的に働いてもらう方法はないでしょうか。

社員の給与を向上させるためには、労働生産性を向上させながら、労働分配率(粗利高人件費率)を抑制していく必要があります。粗利から経費を引いた額以上に人件費を上げることはできませんので、この点も社員に良く理解してもらう必要があるでしょう。社員の中には経営者が給与を決めていると思っている人もいるかもしれません。実は経営者は分配を決めているだけであり、総額を決めているのはお客さんなのです。

労働分配率(粗利高人件費率)が上昇すると、その他の固定が賄えなくなったり、会社の将来への投資ができなくなり、会社としての安定性を大きく損ないます。結局、社員の平均給与を上げる為には社員一人当たりの粗利を増やすしかありません。この理屈をしっかり説明する必要があります。

社員達の為という視点をいれるのであれば、全社目標に労働生産性という指標を入れても良いかもしれません。経営者も社員もお互いに納得した上で、約束することが大事です。

【姉妹サイト】労働生産性: 社員の給料を上げるには?

組織目標と個人目標の関係を意識させる

ある会社では社員向け経営目標&経営計画発表会がないそうです。社長は社員の気持ちが会社に向いていないと嘆いているようですが、こんな会社はどうでしょうか。

マネジメント理論に依ると、人間には承認欲求というものがあるそうです。つまり、周囲に認められることによって人間は満足を得るという考え方です。だとすれば、目標設定も、全社目標の中の重要な一部分として部署目標、個人目標があるということを伝えていくことも重要ではないでしょうか。ここが動機づけ(モチベーション)に繋がります。

特に部署目標(=管理職の目標)に留まらず、社員個人の目標を設定する際には、全体目標・組織目標と個人目標の関連性を強く意識させると良いでしょう。例えば経営目標・経営計画の社員向け発表会はその一例になります。全社員を集めるという日程調整が難しければ、管理職から部下に説明させる方法や経営者が動画で説明する方法もあります。

経営計画発表会: 幹部、中核社員の自覚を促すには?


例3: 低い目標に集中してしまう
  • 目標制度の手引き 目次

    その他、目標制度がうまく行かない理由に心当たりがあれば、下記のリンクからお読みください。



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